佐渡トライアスロン完走記 (Take)

昨年Bタイプのゴール後、Aタイプの人達がふらふらになりながらも、満面の笑顔でゴールするのを応援して、"来年は絶対にAタイプだよな"と心に決めてから早くも一年が経ちました。今年は、宮古島の参加が決まった事もあって、1月の寒い時期からバイク練習を開始。いつも以上に練習したつもりではありましたが、宮古島トライアスロンでは見事に潰れ、ロングの厳しさを身をもって体験しました。その後、復活をかけた下北国際トライアスロンでも再び潰れ、あげくの果てには、エイドステーション、ゴール後のテントで寝る事になるとは思ってもいませんでした。こんな状態で本当に佐渡は大丈夫なのだろうかと不安が募る中、練習に励み、いよいよ佐渡トライアスロンを迎える事となりました。
今回、鉄人からは、13名(日本選手権:若林、Bタイプ:塚越、奈良島、JR佐藤、Aタイプ:松岡、上野、関谷、青木、数本、滝川、畠山、広田、中村、)がエントリー。特にAタイプは実力者が揃い、出発する前から激しい攻防が繰り広げられました。松岡さんとは宮古島、下北に続き佐渡が3戦目。0勝2敗と完敗状態で佐渡が雪辱戦となりますが、松岡さんの安定した強さに弱気になってしまいます。
9/5 鉄人一行は、いろいろなトラブル(滝川車行方不明事件、上野さんチケット紛失事件)があったものの無事佐渡に渡る事が出来、受け付け、競技説明会、パッとしないパーティーに参加して宿に向かいました。宿は3月に新築したばかりで奇麗ではありますが、部屋が狭く、お湯が出ないなど、いまいちでした。夜は、ワイン、日本酒を飲み、いろいろとトライアスロン以外の勉強になる話しを聞き非常に盛り上がりました。
9/6 朝食後、スイム会場の下見で300m先のブイまで往復。その後、佐渡スカイライン経由で両津港に道子さんを出迎えに行き、ランコースを逆走して帰りました。温泉にも行って、ゆっくりと体を休め明日のレースに備えて22:00前には就寝しました。
9/7 朝3:30に起きると予想通り外は雨。憂鬱な気分になるが、みんな条件は同じと自分に言い聞かせる。雨は嫌だが、気温が上がらない事が唯一の救いである。上野さんに"涼しくていいじゃない"と言われつつも、"これで駄目だったら何て言い訳をしようか?""やっぱりロングは向かないのかな?"などと余計不安になってしまいます。朝食、準備をして雨の降る中会場に向かいますが、雨も強くなり、会場に着く頃にはびしょ濡れとなってしまいました。ウインドブレーカーを持ってくれば良かったと、後で後悔しました。
受付を済ませ、トランジションの準備をしますが、雨の為落ち着かず思うように進みません。体も冷えてきたのでウエットスーツを着てスタート地点に向かいウォーミングアップを行います。選手権の部がスタートし、それに続いて各ウェーブ毎にスタートして行きます。自分の番が来るまで待ち遠しい。そしていよいよスタート。
バトルも無く順調に泳ぎ出す。廻りを見る余裕もあり、自分と同じようなペースの人を捜して後ろに付く事にしました。離されたり、遅かったりしたら別の人を捜し、常にペースメーカーを見つけて一緒に泳ぐようにして行きました。そのうち、前のウェーブである緑のスイムキャップ、さらにはその前のオレンジのキップまでを捕らえ、今までに無く楽しい気分になれます。後ろのウェーブである紫のキャップにも抜かれず、順調に折り返します。そのうちに、ちらほらと紫のキャップに抜かれはじめるが、そんなに多くはありません。スイムゴールが見え始め、時計を見ると目標の1:20を余裕で切る時間に驚いてしまいました。上出来である。
スイムを驚異の1:13:55で上がると、広田さんがトランジションにいて声をかける。こんな所で会うとは思わなかった。これから未知のバイク190kmスタートです。まずは今までの課題であった補給に心がけ、カロリーメイト、エナジーゼリーバーを食べる。雨が気になるが、寒さは感じない。
40kmくらいの地点をマイペースで走っていたら、突然COSMICとチーム名の入った10人くらいの集団が物凄いスピードで来た。なんなんだぁーと思ったら、その集団の中に滝川さんがいて二度びっくり。遅れてはいけないと追い着くが、37km/hくらいで走っており、とてもこんなペースではもちそうもない。滝川さんに"かなり速いペースですね"と一言二言話したら、ペースを上げて集団の先頭に行ってしまった。相変わらず滝川さんは元気である。その後、50km過ぎの坂で滝川さんに離されてしまった。
適度にアップダウンがあり、飽きのこないコースである。ロケーションが良いので、天気が良ければ楽しめるのに非常に残念である。まずは両津を目指しバイクを走らせるが、単調な平地では気持ちが切れそうになる。なんとか両津にたどり着き、商店街を通ると地元の人達の応援で元気が沸いてくる。ここからは、昨年Bタイプで走ったコースである為、懐かしくもあり、かつ最大の難所と思っている小木の坂が待ち受けている。
滝川さんと会ってからは誰とも会わず、後ろのウェーブである紫のゼッケンを付けた選手もあまりこない。まだ、松岡さんからはリードを奪っているだろうと思いつつ不安が募る。両津を過ぎた辺りから、ちらほらと二つ前のウェーブであるオレンジのゼッケンを付けた選手を見かけるようになってきた。オレンジ色のゼッケンには、いつも戸塚のXAXでスイムを一緒に練習している永井君がいるはずだが今まで見当たらない。今回スイムが良かったので、スイムの時に抜かしてしまったのか?"まぁーいいや"とにかく前の選手を抜かすだけと後半勝負にかける。
今回は補給食もうまくいき、今までに無く腹が減ってしまう。多分、涼しいので水分の補給量が少なくて済み、その為に腹が一杯にはならず補給食を食べる事が出来たのではないかと後になって思ってしまう。とにかく、エイドステーションのおにぎりがこんなにおいしく感じられたのは初めてである。コーラもおいしかった。
ここまで来ると雨はどうでも良くなってしまう。恐いのは、雨で前が見えない事だけ、登りはガンガン、下りは安全運転で行く。そして難所の小木の坂に達する。その前のエイドステーションでは、おにぎりを食べ準備万端。予想していた以上に軽く登れ、一気に抜かす事が出来る。これも丹沢湖の初心者コースに行ったおかげなのだろうか?松岡さんの言葉を借りると"もっと練習してこい"と言いたくなるほど廻りが止まって見えた。その後の登りも元気にダンシングで登り、後は平地をかっ飛ばすだけ。その頃には、前後に全く選手がいなくなり単独走行。ようやく佐和田に戻りバイク終了。意外にも足が残っていたのにはびっくりした。
着替えをしていると先に行ったはずの滝川さんが走ってきた。何故こんな所にいるのか分からないが、とっても嬉しくなってしまう。着替えをして、トイレに行ったら何故か大きい方もしたくなってしまい、少しのタイムロス。滝川さんを追ってランをスタートしたら、Bタイプ出場のJR佐藤さんと逢ってしまった。佐藤さんの声援を受けつつも、会うとは思ってもいない人に会えたので嬉しかった。
足が軽く走れば走れるが、ここはハートレートモニターと相談しながらmax145を超えないよう抑えて走る。それでも5分/kmのペースである。暫く行くと、上下黒を来た女子の選手に軽くかわされる。ゼッケン1857。もしかしたら松本晴美選手?(やはりそうだった)。跳ねるように走り、とにかくかっこ良かった。あまりのスピードに付いて行く気にもなれず、面影をしっかりと頭に焼き付けて走る。行けるところまでは5分/kmペースで行こうと決め、5km,10kmと我慢のランが続くが、徐々にではあるがペースが落ちてきてしまっている。気分転換にとストレッチをして小便をしていると、突然"立ち小便禁止"と怒鳴られてしまった。マナーに厳しい佐渡であるだけに、思わず出ているものも止まってしまい、ふと見ると元気に数本さんが走って来た。ほっと一安心と共に、数本さん速いなーと思った。折り返しが待ち遠しい。
いつ滝川さんとすれ違うか?と思っていたら折り返し点に近づいてしまった。折り返し点手前では、"中村さん!!"と黄色い声援が飛ぶ。ふと見るとXAX戸塚の古川さんである。何処でも知り合いに応援されると元気が出るものだ。その後、すぐ滝川さんとすれ違う。射程圏内。"よっしゃー"と気合が入る。徐々に滝川さんが近づいて来た。エイドステーション手前で、ついに捕らえる。お尻をポンと叩き声を掛ける。この瞬間は優越感に浸れる。
折り返してからは、松岡さん他、鉄人の人達がいつ来るか不安でたまらない。カッパのウェアーの人が来る度にドキドキしてしまう。暫く滝川さんと並走し、すぐに松岡さんとすれ違う。あまり差がないように思われ不安になる。しかし、滝川さんを追う勢いもここまでであった。その後、滝川さんの前に出たものの、折り返し後の坂で足が動かなくなり、止まる寸前。あっさり滝川さんに抜かれ、見えなくなってしまった。それでもウェーブスタートである為、滝川さんとの差を3分以内に抑えておけば大丈夫だと言い聞かせるが、非常につらい。その後も元気な上野さん(後で聞いた話だが上野さんはランを4:04で走ったとの事、そのパワーには驚かされてしまった)、畠山さん、青木さん(今回勝負出来なかったのは残念でした)、広田さん、関谷さん。そして、どこで抜いたか分からないけれどXAXの永井君とすれ違うので辛い時でも元気になってしまう。
足の疲れも溜まって来ており、滝川さんから聞いたラブをエイドステーションで塗ると多少は和らぐか゛長くは続かず、次のエイドステーションでまた塗る。25km付近は緩やかなアップダウンがあり疲れている足には非常に堪える。ラスト10kmの標識。ランスタートして3時間11分が経過した。15kmまでは5分/kmで行けたが、徐々にエイドステーションでの休みも長くなり、自分では走っているつもりだがペースが落ちて来ている。後ろから来る松岡さんの影に脅えながら、歩くのを必死に堪え前に進む。そのうちに腹の具合が悪くなって来た。昨日から正露丸を飲んでいたのだが、効き目が無くなって来たみたいだ。落ち着かず、走りに集中出来ないのでトイレに行く事にした。トランジションに引き続き、またもタイムロス。しかし、生理現象だけはしょうがない。次回からはレース中にも正露丸を飲む事にしよう。
30kmを過ぎてからは6〜7分/kmにまで落ちてしまった。次のエイドまでと、だましながらも走り(自分では走っているつもりであった)、やっとの思いで辿り着いたエイドではうずくまってしまう。ボランティアの人に"大丈夫ですか?"と声を掛けられ、"はい"と答える声にも元気がなくなってしまった。それでも、ひょっとしたら12時間を切れるのではないかという僅かな期待を抱きつつ前に進む。
最後のエイドに着いた時には既にSUB12時間の夢も敗れてはいたが、ここまで歩かずに走って来られたという満足度で一杯である。後は、ゴールシーンを思い浮かべるだけ。廻りはすっかり暗くなってしまったが、12時間6分12秒で感動のゴール。ランは4時間14分55分。ランで潰れた宮古島、下北に比べたら十分過ぎるほどの結果であった。今回は雨に助けられたレースでありました。
その晩は、酒のつまみにもならずに済み、おいしい酒を飲む事が出来ました。
今年は宮古島に始まって、ロングでの自信を失いかけていただけに自分としては満足の行くレース結果でありました。来年は、下北、そして、もし出場できたら宮古島での雪辱戦を目標に練習していきたいと思います。やはり大勢で行くレースは楽しいものです。来年も是非大勢でレースに参加したいですね。