宮古島完走記 (Take)

4/18 羽田から約3時間で宮古島に到着。
天気は良く、風も強いが思ったほどの暑さは感じられない。バスに乗り体育館へ直行して、受け付けを済ませてからホテルに行き、バイクの組み立てを行う。早朝の直行便であった為、時間的には余裕があり、のんびりと出来る。ホテルの回りは何もないが、東急リゾートの名のとおりホテル内はリゾート感覚一杯である。
その後は、一番大事な買い出しに出かける。缶ビール、ワイン、泡盛と、こんなにもと思うほど買ったが、その日の夜にはほとんどの酒が無くなってしまった。夕方からはパーティーに参加して、無事今日一日は終わった。
4/19 朝食後、スイム会場の下見に出かける。
話しに聞いていたとおり海は、青く奇麗である。しかし、泳いでみると波もあり非常に泳ぎにくい。台風が来ているという話しもあり、スイム1:00の目標は1:05〜1:10の間に修正せざるおえなくなってしまった。その後は、また酒の買い出しと明日の準備、車検。あっという間に一日が終わってしまった。夜は軽く酒を飲んだだけで早めに床に就く。松岡さんと一緒に行って、少ししか酒を飲まないのも珍しい。
緊張の為か何度も目が覚め、ついにはパンクする夢まで見てしまった。
明日は大丈夫だろうか?
4/20 いよいよレース本番。
4:00過ぎに起きて外を見ると、空には星が一杯。風もあり、暑くなる気配が感じられる。
あれこれと準備している間にスタートの時間が近づいてきてしまい、みんなと握手をしてスタートラインに並ぶ。いつもながらではあるが、スイムのスタートは不安と緊張感で一杯である。
さぁー、これからだと集中力を高めようとした時にスタートの合図。"あれー"出鼻をくじかれてしまった。ゆっくりと泳ぎ出すが1300人のいっせいスタートなのでバトルは避けられない。水中にはダイバーが潜っており、下から手を振ってくれる。暫く人に揉まれながら泳ぎ第1ブイをターン。ここもバトルは凄かった。
その後は、スムーズに泳げるようになった。波もなく順調そのもの。1500mの標識が水中に見えたが、あえて時計を見ずに泳ぐ。第2ブイをターンしてからは、少し波があるものの気持ち良く泳げる。遥か彼方に見えた東急リゾートの建物も徐々に近づいてきて、もうすぐゴール。ゴール前数100mはコースが狭められおり、再びバトルとなる。岸に上がる前に恒例となった小タイム。岸に上がって時計を見ると何と52分台。予想を遥かに上回るタイムでスイムを終えた。
こうなると心はウキウキ。バイクラックには山口君のKLEINが掛かっており、しめしめ。一歩リードを奪った。テントで着替えをするが、慌ただしさはなく、のんびりムード。
さっそうと飛び出すと、仕事で宮古島に来ている??という滝川さんから"鉄人一番"の掛け声が掛かり気合が入る。集団も多く、ほとんどドラフティング状態。抜け出そうと試みるが、なかなか難しく、ここで足を使ってしまうのも馬鹿らしくそのまま行く。
最初の折り返しである池間大橋で松岡さんとすれ違う。あまり差がない。山口君、松野さん、対馬さんは見つけられなかった。池間大橋を過ぎると次ぎは東平安名崎に向かって行くが、向かい風、だらだらの坂と思うように進まない。補給食も喉を通らず、気温の上昇とともに水分ばかり取ってしまう。
東平安名崎の折り返しでは山口君を発見。松岡さんは見当たらない。ひょっとして、すぐ後ろにいるのでは?プレッシャーがかかる。
しばらく行くと、どうも腹が重く、バイクを漕ぐのにも力が入らない。まだ、この先も長いので次のASでトイレに行くことにした。
ASに近づいてきた時にボランティアの人に"トイレはないですか?"と聞くと、"トイレ、トイレーー"と拡声器で叫んでくれた。この間に山口君、松岡さんには抜かれただろうなと思いながらスッキリさせて出てくると、ボランティアの人がコーラ、パン、バナナを手に待っていてくれた。"パンでもどうですか?"としきりに薦めてくれるので、コーラだけ貰って再びスタートした。
来間島の折り返しでは、山口君を発見。やはり抜かれてしまったか。折り返してから、暫く行って松岡さんとすれ違う。まだ抜かれていなかった。一安心。
さぁー、これから2周目。155kmは長い。2周目になるとだいぶばらけてきた。日差しは、ますます強くなり暑い。ショート、ミドルではガンガン行ってしまうのだが、今回は抑えている為にどうも気分が盛り上がらない。抜かれてもついて行こうという気力がなく、ただただマイペース。大人になったのか?良くも無く、悪くも無く予定通りの時間でBike FINISH。
テントでRunning Wearに着替えていると松岡さんが登場。一言二言会話をして先にテントを出る。まずはトイレに行ってからと思ったら混んでいて予想外に時間がかかってしまった。バイクで思うように補給出来なかったので、走る前にと用意しておいたオンザゴーを飲み、コーラを貰ってチョコケーキを食べながら歩きはじめる。
よっしゃ、これで完璧と走りはじめるが暑さの為か気持ち悪く体が重い。ラン・スタート後は街中を走る為、沿道の人たちがホースで水をかけてくれ、少しづつではあるが復活してきた。暫く走って歩いてを繰り返しているうちにリズムを取り戻し走れるようになった。それからは抜くばかり。前を行く松岡さんに追いつく為に必死で走るが、なかなか背中が見えない。松岡さんも、かなりのペースで走っているのだろうか。
15kmを過ぎてからペースが落ち出し、走るのも辛く立ち止まったら最後、体が思うように動かず歩くのがやっとの状態になってしまった。山口君、松岡さんとすれ違うが、もうその時は追いかける気力さえなくなってしまった。
折り返してから松野さんとすれ違う。"何歩いているんだ!!"と激が飛び、走りはじめるが、少しいくと再び歩きその繰り返し。松野さんにもすぐ抜かれ、考える事は、ゴールまでの約20kmをどうやって帰ろうか?
とにかく前に進むしかない。行きのランコースは歩いている人は、ほとんどいなかったのに、廻りを見ると私と同じように歩いている人が何人かいる。道端で寝ている人もいて悲惨なムードが漂ってくる。
走っている時間よりも歩いている時間の方が長く、そのうちに足を動かすのもやっとの状態。
ほんとうに平良市内までが長かった。ゴールの5,6km手前だったか生演奏での応援があったが、私がそこにさしかかった時に流れていた曲が、あの"長い道"であった。
"長い道だね、やさしい海だね、夕日追いかけて暑い夏だね"
目の前に夕日が見え、それに向かって歩いていく。そんな自分の姿と重なり、感動で涙が込み上げてくるのを必死でこらえ再び走り出す。街中は応援が凄い。しかし走れない。ただただ下を向いて歩くだけ。
ゴール手前3km,2kmと近づいてくるが走れない。秋田100kmの時は、ゴール手前3kmからは嬉しくて走れたのに今回は全く駄目だった。秋田100kmには100kmの辛さがあるが、私にとっては宮古島の方がもっと辛かった。11:38:05でようやくゴール。これでようやく座れる…・。
こうして宮古島の長い一日が終わった。
4/21 レースの余韻に浸っている余裕はなく、朝からバイクを取りに行って梱包、表彰式と忙しい。
表彰式から帰って軽く海で泳ぐが、ビーチでのんびり海水浴とは無縁の一日だった。
4/22 今日はいよいよ記念すべき映画デビューの日。
午前中は、またまた部屋でビールを飲み。午後から撮影。ランシャツに着替え、バスでロケ地へ移動。曇っている中、汗を作るとかで水をかけられ、寒い思いをしながらランシーンを何カットか撮影した。松岡さん、松野さん、山口君、私とみんな鉄人ランシャツを着ており、誰かしら映っているのではないだろうか。今から秋の公開日が楽しみである。
こうして宮古島での初ロング挑戦は終わった。勢いだけでは行けない、ロングの難しさを非常に感じました。
もう一度、一から出直し佐渡で再挑戦したいと思います。そして、宮古島で雪辱戦をしなくては!!!!