宮古島完走記 (マツ)

今回のレースは不本意ながらまったくの練習不足で臨むことになってしまったが、結果は出来過ぎの好成績であった。今年に入ってから大会までの練習量は次の通りです。
        スイム   バイク    ラン
   1月   4.3    14    41
   2月  13.1     0   148
   3月   9.75  340   239
   4月  11.1    50    74
1月は風邪で3週間ほど練習出来なかった。2月になってやっと練習再開できたが、バイク練習はゼロ、バイク初乗りは3月20日になってしまった。しかも100キロ以上のロングディスタンスはたったの3回しか出来なかった。私の今年のテーマはラン、月間200キロ走ろう!(実態は伴っていませんが、、、)と目標をたて、ランだけはLSDを中心に意識して練習した。バイクは土日しか出来ないので練習不足もやむをえないが、スイムが少なすぎる、、、と3月も末になって初めて気がついて4月に入ってからあわてて泳いでいる。4月5日、土曜日、雨の中、森林公園ランを強行したらまた風邪気味、大事をとりすぐ休んで、翌週の13日、本牧デュアスロンに臨んだ。この日は休養たっぷりのせいか身体は良く動いたが、風邪は治りきってなかったらしく、翌日からまたまた風邪気味絶不調となり、とうとう大会当日までの最後の1週間は練習ゼロ、風邪薬持参での宮古島入りとなってしまった。嗚呼、、、
4月18日、金曜日、朝6時、YCATで待ち合わせ、羽田7時40分発、JTA宮古島直行便で11時過ぎ宮古島についた。体育館で受付を済ませた後、大林監督、映画「風の歌を聴きたい」のエキストラの申し込みも済ませた。(松岡さん、中村さんが大いに乗り気でした)
宮古島はもう夏、暑い、まさにトライアスロンの季節になっていた。体育館前では佐渡にも来ていたアイアンマングッズを売っているあのあやしいおじさんが店を出していた。そしてその向いのテントショップに真っ黒に日焼けした上半身裸筋肉もりもりの滝川さんがいた。ホノルルを宮古島の姉妹レースにするための打ち合わせに来ていて大会当日まで滞在するとのことだった。東急リゾートに着き、チェックイン、昼食後、バイク組立て、ビールの買い出し(酒屋までホテルから5キロほどある。ホテルの回りには何もない)、経験者が3人いるので手際よくことが運んだ。17時半から競技説明会、19時からワイドーパーティー、ホテルに戻って更に飲み会、明日試合じゃないので心おきなく飲めた。いつものことだが、買い過ぎかと思ったビール、酒、ワインはあらまし平らげた。
風邪はだいたいは治ったが、まだ万全ではない。1週間練習を休んだわりには、休暇前、仕事忙しく残業、残業、歓迎会などで、大事な睡眠も十分取れず、完治までもう一歩のところだ。今日はホテルで安静にしていた方が良かったかもしれないが、流れに乗って過ごしてしまった。まだレースまで中1日ある。明日の公式スケジュールはバイク預託だけだ。明日は安静にしていようと思う。聞けば、女子日本人1位候補の山倉選手も風邪をひいていて出場するかどうかはこの2日間の回復次第とのことだった。
土曜日、快晴、朝食後、みんな海へ泳ぎに行ったが、じっと我慢して部屋にいた。この太陽、目の前のきれいな海を前にして泳げないのは本当につらい、もったいない、、、でも我慢。午後の買い出しもパスさせてもらった。宮古島に着いたら走ろう!泳ごう!自転車にも乗ろう!と思って持ってきたたくさんのウエアーは手つかずのままだった。さあ、あと一晩寝て体調は回復するか??夜のビールは少し控えめにして10時過ぎ就寝。
レース当日、4時起床、体調まあまあ、何とかいけそうだ。気楽に行こう、完走が目標だ。バイクは練習不足だが、先週のデュアスロンでは思った以上に走れたし、ランは3月に200キロ以上走ったから、今日はきっと走れるはずだ。スイムが心配と言えば心配だが2月の片倉では28分台で泳げたし、佐渡の3.9キロに比べれば楽なものだ、、、と思う、思い込む。スイムが終われば何とかなる。トランジットエリア、ゼッケン1227番は端のほうだ。タイヤに空気を入れ、バイクにはサランラップで包んだ梅干5個を貼りつけた。トランジットバッグにはスティック状の蜂蜜とザバスのチョコレートバーをいれた。準備中、やたらに汗をかいた。これは暑いからか、それとも体調が悪いのか、よくわからない。でも今日はやる気だ、頑張ろう。
1997年4月20日、7:15AM、宮古島、東急リゾート、前浜ビーチ、1300人のトライアスリートがスタートの号砲を待っている。もうすぐ長い道が始まる。
松岡、対馬、中村、山口、松野、の横浜鉄人5人は握手して互いの健闘を誓い、静かにスタートを待った。
7時半、スイムスタート。久しぶりのスイム、あわてずにゆっくりとスタートしたが、さすがに1300人の同時スタートは混雑する。小バトルを繰り返しながらレースは進んだ。自分もそうだと思うが、隣りに来る選手はスイムがへたくそでやたらにぶつかってくる。どうもまっすぐ泳いでないようだ。平泳ぎで回りを見れば空いているところはたくさんあるのに、まったく、、、。海はきれいだ、海底が見える。ダイバーが水中からこっちを見ている。とにかくマイペースを意識して泳いだ、それほどきつくない。今日の泳ぎは1時間10分ぐらいかな?と浜に上がりタイムを見たら1時間1分台だった。えーー!?こんなに良いタイムだったのか、半信半疑ながらも気を良くしてトランジットエリアへ走った。バイクもたくさん残っているぞ、へっへっへ、、、(実際の順位は848位、去年の順位673位より悪かった。今年の海のコンディションは最高に良かったらしく、どの選手も好記録で上がっている。また今年、スイムでのリタイアはゼロだったそうです。)
バイクでは昨年、宮古島でも、佐渡でも、前半、ボーとして力が入らなかった失敗から、スタート直後から意識して食べることにした。食べたくなってから食べるのではもう遅いのだ。食べると言っても蜂蜜とバナナが今日の主食。おやつにザバスのチョコバーも早めに食べた。梅干しはおよそ1時間に1個の割合で食べた。最初の折り返し26キロ地点(池間島)までは追い風に乗って順調に進む。橋の入り口付近で松岡さんとすれ違った。折り返し点でタイム差を確認、およそ6分位か、他のみんなは気付かなかった。折り返すといきなり向かい風に見舞われるが、今年は別に驚かない。去年より風は弱いようだ。ここから東平安名崎までの約40キロは、サトウキビ畑の単調な風景の中ずっと向かい風が続き緩やかなアップダウンがあるいやなコースだが、コースを知っているのは強味だ。そういうものだと思っていればどうってことはない。淡々とペダルを回すだけ。今年はボーッとはならなかった。しかもあまり抜かれない、抜く方が断然多い。松岡さんとは折り返しのたびに同じような場所ですれ違った。差はほとんど変わりないようだ。何かこわいくらい順調に来たが100キロを過ぎた頃、腿の筋肉が張ってきた。いよいよきた、頑張るとつりそうな気配になってきたので少し力をセーブして回転を意識、ランになって脚が動くか不安だがバイクを終わらせなければ話にもならない。力をセーブしてもあまり抜かれなかった。まだ抜く方が多い。みんな暑さにまいっているみたいだ。今日は確かに暑くて、途中何度も水をかぶったが、梅干し効果か、あまり苦にはならなかった。(バイク順位は572位、通過順位は631位に上がった。去年のバイク順位723位より良かった。)
さあ、後半もなんとかなった。思った以上に走れた。計算では松岡さんとは10分ちょっとの差だろう、松岡さんが潰れれば追いつけるかもしれない、と希望を胸にランをスタートした。3キロほど行くと前から滝川さんがママチャリでやってきて、5キロ位先に中村さんがいますよ!と声をかけてくれた。うーーん、これはどう解釈すべきか??すぐ前は中村さんと言うことらしい??松岡さん山ちゃんは中村さんより前なのか??5キロと言ったらキロ6分として30分も先、ずいぶん離されちゃったなあーー、それにしても松岡さんのランはずいぶん速くなったものだ、中村さんは潰れちゃったのかなあ、、、市街地を抜けた頃(3キロ位)から順調な走りになってきた。身体は動く、去年前半押さえていったのに、後半はやっぱりきつかった、、、の教訓から、今年は気分良く走れる時はその勢いで行けるところまで行く、と決めて走った。
10キロ 0:54:44、
15キロ 1:23:23、速い!!暑さも心地よく感じて走れた。17キロ過ぎても18キロ過ぎてもまだ鉄人のみんなとはすれ違わない。いいぞいいぞ20キロ過ぎで会えばわずか2キロ差、後半勝負だ、、、と思っていると20キロ手前で山ちゃんと会った。意外な小差だ。「中村さんがすぐ前にいますよ!」と声をかけてくれた。やっぱり中村さんは潰れたのか、ロングはやってみないとわからない、とにかくロングは大変なんだ、奥が深いんだ。1キロも行かない内に松岡さんが来た。快調な走りで山ちゃんを追走している。「中村さん、すぐ前だよ!」とまたも声がかかった。まだ前には見えないものの追いつくのは時間の問題のように思えた。
中村さんとは折り返し手前の坂の下で会った。立ち止まってストレッチをやっていた。その差は400メートル位、次のエイドで追いついた。疲労困憊の様子だった。潰れちゃったの?と応援にも励ましにももならない言葉をかけてエイドを後にした。中村さんごめんなさい!
20キロ 1:54:00、
ハーフ  2:01:30、ここまで順調に来たが左のじん帯が痛くなってきた。ペースダウンして、とにかく30キロまでは歩かず走ろうと決めて走った。往路では気にならなかったが、復路では上り坂がとてもきつい。それでも歩かなかった。対馬さんとは25キロ手前ぐらいで会った。とても元気そうだった。
30キロ 3:02:42、かろうじてキロ6分だけど、それもここまで、トライアスロンの醍醐味、例によって長くて厳しいラスト12キロが始まった。もう松岡さんには追いつけないだろうけどここまで出来られれば大満足だ。時々止まって屈伸運動をした。ラスト12キロでは何人もの女子選手に抜かれた。ロングに出てくる女性はとにかくランが強い、4時間ちょっとで走る選手が何人もいるから驚きだ。私の今年のテーマ「ラン」はまだまだ未完成、でも今日は上出来、出来過ぎ、この分だと明るい内にゴール出来そうだ。こんなにうれしい気持ちでゴールへ向かうのは久しぶりだ。市街に入って身体は軽くなった。ラスト2キロ位で何人も追い抜いた。そしてゴール!!、11:13:19、480位、
マラソンの実タイムは4:26:21、よくやった。最高の気分だ。宮古島ありがとう!!
なぜ練習不足のわりにはうまくいったのか?休養十分が結果的に良かった、開き直って気楽にいったのでリラックスできた、食糧補給が良かった(今回はおにぎりやパンのような重いものはまったく食べないでも大丈夫だった)2年連続出場でコースを知っていた、年間を通して良く練習した、等が考えられる。
今回のレースで更なる記録短縮の可能性を実感出来た。もっともっと記録は伸びるし、トライアスロンも楽しめると言うものだ。