2011-1-23Audax アルパイン クラシック 2011 参加記ハイジ

 オーストラリアで開催されたアルパイン・クラシックというサイクリングイベントに参加してきました。 この大会はAudaxという、レースではないツーリングイベントを主催する世界的な非営利団体が行っている大会で、順位はありません。今回初めて知ったのですが、日本にもAudaxの支部はたくさんあって、ブルベというレースではない全て自己責任ツーリング大会が日本のあちらこちらで開催されているそうです。

 今回のアルパインクラシックはビクトリア州の最南の都市メルボルンから北西に4時間ほど車で走ったところにあるブライト(Bright、標高300M)という小さな町で開催されました。さまざまな距離のカテゴリーがありますが、私が出場したのは200キロ(制限時間13時間)のカテゴリーです。平地部分はおよそ30キロで、あとは四つの山を登るか下るかです。このイベントに参加することになったのは、前の会社の友人がメルボルンに住んでいて、以前から誘われていたからです。そうでないとこのイベントを知ることはなかったでしょう。エントリーはネットからできたのですが、エントリー開始の日の何時から受付開始なのかが気になりメールで問い合わせたところ、そんな細かいことを訊いてくる日本人が珍しかったようで、数回のメールのやりとりのあと、会場に着いたらぜひ大会本部に来てくれとのこと。メールで送られてきたエントリーナンバーは2番(!)でした。

 パース経由でメルボルンに着き、友人宅に泊めてもらい翌朝友人の車で出発です。例年の夏だと、ヴィクトリア北部の牧草地は熱気で枯れて荒涼たる土の大地が広がっているらしいのですが、今年は異常気象で気温は低く雨が多くて(オーストラリア北部は大洪水)緑の牧草地が延々と続いていました。Brightは冬はスキー、夏はアウトドアのリゾート地ですが、本当にこじんまりとしたきれいな町です。大会本部にレースパックを受け取りに行くと、何度かメールでやり取りした主催者のPhilが待っていました。どうも私は大会史上初めての日本人参加者のようでした。この大会がどうだったか終わったら聞かせてくれとのことです。

 正月以降メルボルンの天気予報を定期的にチェックしていたのですが、1日の最低気温15度、最高気温20度から25度で、暑さの心配はなさそうでした。それよりも標高1400メートルからの下りで凍えそうなのが心配で、何を着るか(しょっていくか?)をずっと考えていました。ところが!我々がBrightに到着したときは気温32度、レース当日の予想最高気温は34度と例年の夏に戻っていたのでした・・・・ 泊まったのは、Brightから5キロほどのところにあるレンタルの一軒家でした。ベッドルームは3つ、リビングとキッチン、トイレとバスは、珍しくひとつずつしかありません。裏庭の向こうは牧場で、すぐそこで牛が草を食べていました。我々はBrightの街のパブでピザやパスタを食べました。

 当日は4時起床、5時半に家を車で出発して、車をスタート地点から1キロほどの場所に停め、スタート地点に向かいます。200キロカテゴリーは6時20分にスタートしました。

 街を抜け、まだ薄明かりの中を快調に走ります。5キロほどで最初の山Twanga Gap(地図上@とD、標高約900M)の登りにさしかかります。まだ気温も低いし体も元気なのであっけなく山頂に着きました。記念撮影をしてから、山の反対側へ楽しく下っていきます。それもあっけなく終わり、次のFalls Creek(地図上B、標高1485M)に向かいます。正直ここまでは絶好調で、このまま最後までいけそうな気がしていました。しばらくアップダウンを繰り返した後、本格的な登りが始まります。地図の印象から湯河原側の大観山とほぼ同じかちょっと長めかなという感じだったのですが、登ってみると意外に足にこたえます。あとから反省したのですが、Falls Creekへの前半のアップダウンが楽しくて足を使いすぎたようです。山頂に着いたときには、全身汗まみれで、かなり足の疲れを感じました。山頂では飲み物、食べ物のサービスがあり、トイレを済ませてウインドブレーカーを着て、上ってきた道を下ります。山頂の気温は17℃、汗まみれで高速で下るとかなり寒く感じられて、体が震えてきます。ほぼ下り終えてまたアップダウンが始まったときに、立ち漕ぎで両モモ前面がつり、その後両ハムストリングもつり始めました。BentoBoxにはこんなこともあろうかとクランプストップを入れてあったので助かりましたが、先が思いやられます。



 しばらく平地で足を使わないように気をつけて走り、さっき下ってきたTwanga Gap (地図上@とD、標高約900M)を反対側から登ります。このころから気温が30度を超えて、いくら水分を補給しても渇きが癒えなくなってきました。既に軽い脱水症になっていたのかもしれません。モモの前面がつるので、立ち漕ぎができずお尻が痛み始めます。ペースは時速10キロを割って、もうヘロヘロです。山頂では友人が冷えたコークを持って待っていてくれました。4つの登りのうち3つが終わったのですが、あとひとつ足がもってくれるかどうか・・・自信がありません。その後コースは一旦スタートしたBrightの町に戻り、エイドステーションで飲み物と食べ物の補給を受けます。この頃気温は35度を超えていました・・・ゆっくりと休憩してストレッチもやって最後のMount Buffalo(地図上FDingo Dell と表示、標高約1400M)に向かいます。

 しばらく平地を走っていると、もうMount Buffalo を下ってBrightに帰ってくる速い選手達とすれ違います。こっちはこれからなのに・・・とほほ。この登りは本当につらかったです。気温は38度になり、山頂でも30度近くありました。アスファルトの表面が溶けかけてテカテカ光っています。山頂では、私を待つ間にアイスキャンデーとケーキを食べてコーヒーも飲み終えた友人が待ちくたびれていました。私もコーヒーを飲み、スイカを貪り食って、やっと人心地がつきました。もう上らなくていい幸せ・・・このMount Buffaloの下りは楽しかった・・・でも下り終えても先頭交代する力は残っておらず、ひたすら友人に引いてもらいます。そしてやっとゴール・・・・制限時間の約30分前でした。

 後半は何とか足を動かしているだけという状態になってしまいました。何故だったのでしょうか??練習不足、力不足はもちろんあると思いますが、それ以外にも原因があるような気がします。補給の仕方などをもう一度ゆっくり反省して、次回につなげていきたいと思います。でも楽しい思い出ができて本当によかった!この大会はのんびりしていて、とても雰囲気のよい大会です。機会を見つけて、また出てみたいと思います。そのときにはどなたかご一緒しませんか?

 
記録
・総時間12時間30分
・走行時間10時間18分
・平均速度19.4KM/H
・最高速度60.9KM/H
・累計標高差3900M
・消費カロリー約5000Kカロリー
・平均気温25.6℃
・最低気温17.0℃
・最高気温38.0℃

この旅行の費用(円)
・エントリー代8,000
・宅配便往復(成田)6,000
・成田行きバス往復5,600
・飛行機(サーチャージ、ビザ代行費用など)117,000
・友人に土産7,000
・メルボルンの宿(2泊)0(友人宅)
・ブライトの宿(3泊)0(友人のおごり)
・食事・酒代30,000
・バイクケースレンタル(送料込)4,500
・合計約180,000
・家族に土産???
カンタス航空(機中2泊)は食事もワインもおいしかったです。

 おまけ
パース経由でメルボルン空港に着くと、預けた荷物が出てきません(バイクです)。パースでの乗り継ぎの時間が結構短かったので、荷物の載せ替えが間に合わなかったようです。迎えに来てくれた友人宅に配達してもらうように手配したのですが、私以外にも日本人らしき若者が困っています。パースでの乗換えで見かけたので、たぶん私と同じ目に会っているのでしょう。聞くと川崎の某高校3年生で、近代5種競技の国際大会に出場するために1人でメルボルンにやってきたのだそうです。近代五種ってそのとき初めて何をやるのか覚えました。フェンシング、ハンドガンの射撃、ラン、スイム、乗馬だそうです。すっげー、高校生でこんなのやるやつがいるんだ・・・届かない荷物の中にはフェンシングの道具一式、馬のむちなど、現地で調達できるかどうか不安なものも入っているらしくて、とても心配そうです。彼をオーストラリアの近代五種連盟関係者が迎えに来ることになっているらしいのですが、待てど暮らせどそんな人は来ません。置いていくわけにもいかず、とりあえず彼の荷物は友人宅に届けるよう手配して、本人も友人宅に連れて行くことにしました。空港から友人宅まで車で移動する間、友人の自宅にいる奥さんに頼んで近代五種連盟に電話して状況を説明してもらい、担当者を見つけてもらいました。友人宅に迎えに来てくれた担当者に話を聞くと、どうやら国際線ターミナルで待っていたためにはぐれてしまったようでした。パースからの便は当然国内線ターミナルに着きますから、会えないはずです。高校生は丁重に礼を言ってその連盟の人と去っていきました。自分が高校3年の時は、ひとりで外国に行くなんて想像もできなかったよなあ・・・って、妙に昔が懐かしく思い出されました。とにかく、がんばっている日本の高校生を助けることができて少し幸せな気分になったのでした。終わり。

ゴール直後(ピンボケで残念!)


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