2010-6-52010 IRONMAN 70.3 HAWAIIマツ

 成田を21時に発ったJO70便は日付変更線を越えて同日の朝9時20分にコナ空港に着いた。飛行時間は約7時間、日本とハワイはとても近い。飛行機はわりとすいていた。JALのコナ直行便は今年10月で姿を消す。私にとっては最後の直行便フライトだ。外に出るとむっとする暑さを感じる。ハワイの暑さだ。テント小屋のイミグレーションを抜けてツアー会社の用意したバスに乗り込む。ツアー客を乗せてバスはマウナラニのフェアモント・オーキッドホテルへ向かった。見渡す限りの溶岩台地の中にハイウウェイが一本走っている。他にはなにもない。アイアンマンの島ビッグアイランドハワイの風景だ。

 今回のトライアスロンは、私にとって2007年宮古島以来3年2ヶ月ぶりのレースになる。その間ラン練習は続けていたが、バイクとスイムはまったくやらずにサボっていた。その結果、大会にエントリーしていざ練習を始めてもなかなかエンジンがかからず、トライアスリートらしい練習が出来るようになったのは、やっと5月の声を聞いてからで、毎度のことながら準備不足のまま大会当日をむかえることになった。今回の目標は、完走すること。そしてトライアスロンに対するモチベーションを高めることとした。
 本大会への日本からの参加者はおよそ50人、グッドウィルツアーでの参加者は25人、そして横浜鉄人クラブからはジョイナーと私が参加した。また著名人では、リサ・ステックマイヤー、ヒロミが参加していた。

 ホテル到着後すぐにチェックインできた。私の同室は新潟のM山さん(同世代)。ここで寝てしまったら時差ぼけ地獄に落ち込むので、すぐに登録。その後は楽しいアイアンマングッズショッピング。眠気は完全に吹っ飛んだ。
 お昼はホテルのシャトルバスで1マイル離れたショッピングセンターへ行ったが2時半でレストランのランチタイムは終了していた。しかたなくファーストフードで遅い昼食をとり、その後スーパーで水や食料を買ってホテルにもどる。スーパーでグッドウィルの武藤さんに会ったので車に乗せてきてもらった。バイクを組み立て、2〜3キロ乗ってポジションの確認。ディナーはツアーの人たちとホテルの野外レストランで食べた。砂浜にセットされたテーブルはハワイアンムードたっぷり。ウクレレのバックミュージックが聞こえていた。夜は時差ぼけもなく爆睡。

 二日目、6時半起床、7時からホテルのビーチで泳ぐ。風もなく穏やかな天気で朝から日差しが強い。水温はちょうど良く寒さは感じなかった。気持ちよく泳げた。練習不足でもなんとかなるだろう。
 9時:ランバッグを預けたあとまたまたアイアンマングッズのお買い物。品数はだいぶ減っていた。昨日もっと買っておけばよかった。
 12時:バイク預託にスイム会場までバイクで向かった。途中のロータリーで道を間違えて別のリゾート施設へ行ってしまった。おまけに後輪がパンク。おまけにポンプが壊れていた。ジョイナーに借りて空気を入れた。ひと汗かいて日焼け止めが目にしみた。でも不幸中のさいわい。レース中でなくて良かった。会場まで7キロと聞いていたが、15キロあった。ハイウエイに出ると風が強かった。でもこの程度の風は地元では「穏やかだね」というらしい。
 バイク預託後、炎天下でシャトルバスを待ったが小一時間待たされた。このあと昨日入れなかった日本風レストランへ行くつもりだが、2時半が迫っていた。途中で降ろしてもらい、ぎりぎりセーフ!カツカレーを注文した。肉、ジャガイモ、にんじんがたっぷり入っていてカツはなくても良かったくらいでとてもおいしかった。店のオーナーはノリオさん、もとフェアモント・オーキッドでシェフをしていたとのこと。しばし雑談。競技説明会開始の15時はとっくに過ぎてしまった。スーパーで今日の夕食、明日の朝食を買ってホテルにもどった。

 大会当日、午前4時起床、5時半、シャトルバスでスイム会場のハプーナビーチへ向かう。今朝は風が強く、バイクコースの強風を覚悟した。そして海の波も気になる。

 ジョイナーにとって、ウエットスーツなしのトライアスロンスイムは今回が初。レースに備え、大貫映子さんの小浜島合宿に参加し、ウエットなしで1500メートルを泳いできたが、あの時は横に大貫さんがいてリードしてくれた。今回はちょっぴり不安が残る。制限時間の1時間15分が重くのしかかる。参考にしようとコピーして持ってきた函館のふーさんのブログ(奥様マッキーがホヌで2年続けてスイムで棄権した話)が頭から離れない。大地の神様に日本酒をささげて大会当日の無風を祈願してみたが、神様には日本酒は合わなかったようだ。

 そんな心配をよそに時間は刻々と過ぎていった。ナンバリングを済ませバイクに食料をセットし、タイヤに空気を入れて準備完了。5分前にスタートのビーチへ移動した。およそ半数の選手は海に入っている。半数はビーチで待機。ウエットスーツを着ていないので一度濡れると寒そうだった。私はビーチで待機、ジョイナーは海へ走って行った。アメリカ国歌が聞こえてきた。国歌が終わるとスタートだ。

 およそ1500人の一斉スタートだったが、心配されたバトルはたいしたことなく、まずは平和な滑り出しだ。スイムコースは約300メートル沖に出て二つ目のブイで右折し、ビーチに平行して750メートル泳ぎ右折、140メートル泳ぎ右折、610メートルビーチに平行して戻り、最後のブイを左折して90メートル泳ぎスタート地点まで戻ってくる。

 私のスイム練習の進捗レベルは連続クロール500メートル9分30秒、50メートルインターバル1分10秒で8本が出来る程度といったところ。スタート直後は少し息も上がったが、しばらく泳ぐとリズムよく泳げるようになった。きれいな透き通った水中には魚がたくさん見えた。あわてず余裕をもって大きな動作を意識して泳ぐ。心配は足底筋とふくらはぎの痙攣で後半になると必ず出てくるが、今回は2キロだから大丈夫だろうと楽観していた。

 第2ブイを曲がると海のコンディションは一変した。小刻みの波とものすごいうねり。この波ではジョイナーは大変だな、と思いつつとにかく腕を回したが、長くてつらい750メートルだった。(距離は後で確認したものです) 後半に入り、久しぶりの2キロはやはり長いな、と感じながら泳いでいると、時計ベルトの押さえが外れているのに気が付いた。気になったのでバタ足キックをしながら直したが、その刺激で右ふくらはぎが攣りそうになってしまった。まだ残りは400メートル位ある。右足はほとんど使わずだましながら泳いだが、さすがにこのときばかりはウエットスーツを着ていたら安心と思ったものです。スイムは50分かかった。遅すぎ!だが、これが今の実力。順位は1086位。スイムが終わり水中で立ち上がったとき腰に痛みが走った。このあとバイクは腰痛を我慢しながら走ることになった。

 トランジットは13分かかった。ハーフアイアンマンでは考えられないほどの長時間だ。これは移動の時間とバイクジャージ&パンツに着替えた時間、そして日焼け止めをたっぷり塗った時間の合計。日焼け対策でアームウォ−マーもつけた。

 バイクコースはビーチからハイウエイに出るといったん右折し、7キロほど南下して折り返し、その後はハヴィまで北上しほぼ中間点で折り返して、フェアモンド・オーキッドホテルまで戻ってくる。アイアンマンハワイと同じハヴィの街の同じ場所での折り返しを期待していたが、それはかなわなかった。しかしほとんど全コースが10月のワールドチャンピオンレースと同じものだ。

 スイム50分+エイド13分で1時間03分経過後バイクをスタートしたので、後ろから来る選手はまばらだ。最初の往復14キロでジョイナーとすれ違えればスイム関門無事通過を確認できるが、ここでジョイナーを見つけることはできなかった。

 そのころジョイナーはカヌーのボランティアに見守られスイムゲートに向かって泳いでいた。なにやらカウントダウンが聞こえてきたが、それがなにを意味するものか良くわからなかった。しかし意味が分かってもどうすることもできなかったと思う。身体は冷えて寒かった。きっと運動量が落ちたせいだと思う。ようやくたどり着いたスイムゲートには大会役員がいて競技停止を告げた。1分30秒のタイムオーバーだった。

 バイクコースは小さなアップダウンの繰り返しで、往きはずっと向風。まったくスピードが上がらない。メーターのセンサーがずれて感知しなくなり、時速何キロかは分からなかったが、遅いことは確かだ。ほとんど抜かれるばかり。腰が痛くてDHポジションが取れなかった。上りではシッティングでこぐと腰が痛いので立ちこぎでしのいだ。ハヴィの折り返し手前は、向かい風の中約8キロで430メートル上る激坂だった。この間は全く進んでいる気がせずものすごく長く感じた。スタートから折り返しまでは2時間かかった。復路は1時間半だったので、このタイム差が向風のすごさを物語っている。バイク順位は1104位。スイムより悪い順位だった。練習不足を痛感。

 バイク〜ランのトランジットでも日焼け止めを念入りに塗って6分15秒かかった。今回のUV対策は95点、マイナスポイントは手の甲と腕時計回りを塗り忘れた点。

 ランは主にホテルのゴルフコースを走る。芝生の上やカート道がランコースだ。小刻みなアップダウンが繰り返し続く。コーナーや折り返しがとても多い。美しいコースであることは確かだが、走り易いとは決して言えないタフなコースだった。

 今日のランは私にとって本日のハイライトだった。まさに前の人が止まって見えました状態。次から次と抜くばかりでゴールまでに一人にしか抜かれなかった。タイムだけを見ると1:57:43でハーフとしてはどうってことのない記録だが、コースの複雑さ、ハワイの暑さ等を考えるとなかなかの好記録。ラン順位は392位。スイム&バイクの1000番台と比較してください。こういう走りができると本当に気分が良くなる。これでモチベーションも一気に上昇した。

 フィニッシュゲートはホテル前の芝生だった。ゴールではジョイナーと武藤さんが迎えてくれた。同室のM山さんも4分前にゴールしたところで固く握手を交わしお互いの健闘を称えた。スイム終了後のショックから5時間経過のジョイナーだったが、部屋にもどりシャワーを浴びて涙を流し腕のナンバーを消し、バイクの梱包を済ませたころにはこころの切り替えも完了、元気に我々を迎えてくれた。ありがとうジョイナー!

 ゴール後すぐに完走Tシャツとメダルをもらい、一緒に食事券とビール券3杯分をもらった。大きなハンバーガーとりんごをもらいビールで乾杯!ここがハーフの良いところでレース直後でも食欲旺盛、ビールは流れるように飲み干した。

 レースが終わって思うことは、「練習は裏切らない」「継続は力なり」ということ。ランでの快走(自分にとって)とスイム&バイクの低調はまさにその結果だ。レースの結果は今現在の自分の実力評価として受け止めよう。ほとんど泳がなかった3年間、うち後半の2年間はずっと腕が痛かった。腕を伸ばしたり回したりすると腕の筋肉の内側が痛んだ。それが泳ぎ始めたら治ってきた。練習しないことによる筋肉痛があることを初めて知った。これって一生続けろ!という身体からのメッセージだね。きっと。



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