2009-9-6収容車おスギ

 生まれて初めて収容車に乗った。

 「このエイドも、あと10分かぁ」走り出したとたん、後方からそんな声が聞こえた。あとここに10分いたら、回収してくれるんだ。でも戻るのも格好悪いしなぁ・・・。とぼとぼ走り始める。完走できないし、もう歩こう。トライアスロンのレースで初めて歩いたな。やたら人がいる。ちょっと走るか。あっ、神社だ。
 やっぱ歩こう・・・。マーシャルカーだ。あっ・・・。置いていかれた。乗せてくれぇ・・・。あっ、また来た。手を上げて、タクシーかのように止める。
「あと、2キロぐらい。15分あるから走れるよ。」「うーん。時間的にきついかなぁ。いいです。乗せてください。」
こうして、私の初めてのリタイアは決まった。

 宮古島が終わり、次の目標。高みを目指すときついのに、自分にとっての高みを目指してしまう・・・。やってみたくて、やってないこと。佐渡A。
 2年前、佐渡Bを完走した。その時見た佐渡Aの人たちの顔が、やたら輝いて見えた。その年は、リタイアとなってしまった還暦さんの顔も。完走したのに、なんか損した気に少しなった。でも、佐渡Aなんて・・・。考えられなかった。
 I島さんに誘われ、重ーい腰をあげた。しかし、重ーいプロジェクトメンバーになり仕事漬け日々。練習再開は、4月。それから ほぼ毎日、I島さんのブログを見た。彼女の練習が、私の励みになった。一緒に行くって約束したから。頑張らなくっちゃ!!ライバルなんて、おこがましくて言えないけど、彼女がいるから頑張れた。

 練習は、こんな感じ。足りないって・・・。私にしては、7,8月は頑張った。
 1月2月3月4月5月6月7月8月合計
Swim(km)5.750.12.715.9519.1513.723.217.698.15
Bike(km)01003713742214256472048
Run(km)10232736.254349.07103.06127.56418.94

 SWIM:周りに人がいた。めずらしい・・・。1:29、予定通り

 BIKE:とにかく、Z坂まで。頑張っちゃいけない。30kmを超えると抑えるようにした。いよいよZ坂。Z坂をZを描いて(蛇行して)上っていく。あーこれが野原ね。さて、次は両津。両津を越えたら、Bタイプと一緒。確かまだまだ坂は続くはず。結構気持ちよく走れる。なんかやばい。日がかげってきてるよねぇ。今、何時だろう・・・。時間が知ったら気持ちが切れる。あえて時計は見ない。
 やっと来たぜ、小木の坂。このために坂の練習をしてきたんだ。思い出せ、ヘロヘロだった時、道志のコンビニで「今日はあと2つ坂を上れば終わりだから」って、ガデンさんに言われたこと。このための練習だったんだ。さぁ上るぞぉ!! あれっ、こんなに長かったっけ。ゼイゼイ、ハアハア。2つ目の上りはどれ? やっと下った・・・。最後の、そうそうこの坂ね。よーし、あと10km。
 初めて時計をみる。『15:38』えっ、やばいじゃん。ええっと、あと22分で10kmでしょ。時速30kmぐらいで走らなきゃ、間に合わないじゃん。まずーーーい。しかも向かい風。頼むよぉ・・・・。
 バイクフィニッシュ:16:00 「まだ間に合いますか?」自分でもビックリするぐらい気弱な声で、マーシャルに尋ねる。「間に合うよ!!」

 RUN:着替えもせず、慌てて靴だけかえて、ランへ。あと5:30。自己ベストが5:31。完走できないかも。生まれて初めてレース中に「完走できない」がよぎる。とにかく走る。10km。Bなら折り返しかぁ。あと半分なら余裕だよなぁ・・・。17:23 残り4時間で30km。無理だな・・・。
 I島さんはどうしたんだろう・・・。12.5km。「このエイドも、あと10分かぁ」と聞こえる。

 マーシャルの車に乗せてもらった時は、満足していた。自分のベストは尽くせた。完走できなかったのは、自分の実力。悔しいか悔しくないかと言われれば、悔しいけど、また同じように、それ以上に練習して、佐渡Aを完走するなんて・・・。考えられないな。このままトラアスロンは終われないから、17時間ある海外のアイアンマンに出ようかなぁ。大体、時間を気にして走るなんて、私のトライアスロンポリシーに合わないよ。トライアスロンは楽しくやらなくっちゃね・・・。

 トランジット撤収。あー、みんながつけていたのは、完走バスタオルなんだ。もらっていた時は嬉しいとは思わなかったけど、ないのは寂しいもんだ・・・。バスタオルないと格好悪いな。
 あー、ジョージ君のそれ、完走Tシャツだ。みんな着ているからボランティアTシャツだと思っていた。完走しないと、完走Tシャツがどんなのかもわかんないんだぁ。
 翌朝。海を眺めている人がいる。そうだよね。レースの翌日は、いつも自己満足と安らかな気持ちで海や空を眺めたっけ・・・。今日はちっとも眺める気にもならないよ。終わった感がない・・・。

 帰りの車でMKさんに「来年は、どのレースに出るんですか?」って聞かれて、「今、頭の中は佐渡Aでいっぱいです」と答えていた自分がいた。
 大変だよ、きついよ、早起きしなきゃならないよ。みんな夜更かししてるのに、一人寂しく早く寝なきゃいけないよ、公道は怖いよ、もう自転車に乗りたくないと思っても家に帰るために泣きながら乗らなきゃならないよ・・・・・。

 すべてひっくるめて、佐渡Aを完走したい。今年、佐渡Aをスタートした女性60人中、完走した42人の一人になりたい!!I島さんは来年 長崎だけど、一人でも完走する。頑張る!!
  よし、今、決めました。来年、佐渡Aに出て完走します。

2009.9.10 杉浦 明子

<謝辞およびお詫び>
練習にお付き合い頂きました横鉄の皆様、VO2MAXの皆様
レース中「横鉄、頑張れ!」と声をかけて頂いた武蔵野支部の皆様
応援してくださった中嶋様、岩田様はじめ皆様
水泳を教えてくださったアスロニアの皆様
バイク調整をしてくださったハートビュー様(バイク自体の調子は、絶好調でした)
レースを開催して頂いた佐渡の皆様
車に乗せてくださったガデン様、Mk様
休みをくれた会社の皆様
応援してくれ、援助してくれた和希と卓也さん
その他、書ききれないくらい多くの方々にお世話になり、佐渡のレースをすることができました。
本当にありがとうございました。皆様から頂いたことは、来年お返しします。『収容者』から『完走者』になります。今しばらくお待ちください。

そして、レースを決めさせてくれ、ブログを通じ練習を引っ張ってくれ、レース中も会えなくても、ずっと私の心の中で支えてくれた(もし呼ばせて頂けるなら)私のライバルI島さん、本当にありがとうございました。
来年は、目標とするレースが違ってしまいますが、これからも宜しくお願いいたします。

<大きな大きなお詫び>
家に帰って荷物を整理していたら、異様にくさいものがあり、何かと思ったら私のサンダル。お世話になった上、5時間も車の中で、くさいにおいをかがせてしまい、ガデン様、Mk様、大変申し訳ございませんでした。お許しくださいませ・・・。


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