2009-06-28 | 2009 Ironman France-Nice 出場記録 (1) | moto |
■手配
昨年はグッドウィルツアーに乗りドイツ・フランクフルトで開催のアイアンマン・ドイツに参加した。しかしツアーでの参加者は殆どいなく、すべてが単独行動だった。行きと帰りにフランクフルト空港とホテル間を移動するタクシーなども自分で手配した。ホテルでの交渉事も拙い英語ですべてを自分でやった。グッドウィルがやってくれた事に不満は無かったが、結局ツアーでやってくれたことは、ホテルとエアチケットの手配だけだった。
そして今年はどこのレースがいいかと考えた結果、フランスのアイアンマン・フランス−ニースに決めた。リゾート地ニースの地中海に面したロケーション、開放的な雰囲気が魅力的だった。募集開始早々にアイアンマンのエントリーを済ませ、あとはツアーに乗っかればいいだろうと思っていた。ツアーは今年もグッドウィル、武藤さんにお願いするつもりでいた。
エントリーの後、実際の開催場所はどんなところか、空港から近いのかなど、昨年の経験からいろいろ気になるところ。とりあえず、アイアンマンのホームページとグーグルの地図で場所を確認した。
ニースの街は空港からどれ位? = 5キロ、近いね
スイム会場はどんな所? = 街の近くの海岸だ
近くにホテルはあるかな? = たくさんあるね
ホテルは予約できるのかな? = ちょっと探してみるか
という感じで、メイン会場に近い場所で、ロケーションの良さそうなところを探した。アイアンマンのメイン会場近くにはホテルがたくさんあった。
『どれを選んでいいかわからないなぁ。近いところなら、多少高くてもいいか』
そんな事を思いながら、グーグルの地図を見ていると、ホテルの予約サイトにたどり着く。日本語で案内のページが出てくるのでとりあえず安心。いま決めちゃって大丈夫かなぁ、などと多少の不安もあったけれど、
『ここが海にも会場にも近くて値段も手頃だし、ここに決めちゃえ!』
という事で、昨年の10月頃にはホテルが決まった。アメリカンタイプの三ツ星ホテルだった。
『じゃあ、あとは航空券を買えば行けるじゃないの』と言った具合で、航空券も探し始めた。ルフトハンザは昨年、自転車を乗せるのに往復ともに80ユーロを取られたので高くついてしまった。昨年行ったフランクフルト経由でニース行きというのがあるけど、同じところを経由するのも能が無いし、どうせフランスに行くなら、やはりパリ経由でニース行きでしょう。フランスならエールフランスかな。でもJALやANAも当然あるだろう。便の数を見るとやはりJALか。エールフランスとのコードシェア便もあるし。しかもJALには、比較的安い値段でエコノミーより楽なプレミアムシートというのがあるらしい。12時間もエコノミーのシートに座り続けるのはもう御免なので、迷わずプレミアムエコノミー、ちょっと贅沢に行くか。
6月搭乗のチケットは1月末に発売を開始する。1月から燃油サーチャージは多少安くなったものの、まだ数万円かかる。4月発売分からは殆ど無くなるとは分かっていたが、座席確保のためには多少の出費も覚悟する。JALのプレミアムシートでパリを経由してニース行き。国際線でパリ経由の往復なら、帰りはパリで1泊しても値段は同じ。じゃあ、ツール・ド・フランスで馴染みの凱旋門やエッフェル塔やパリの街を見物しよう。JALの成田−パリ往復と、エールフランスのパリ−ニース往復チケットも取れた。しかもパリ1泊付き。と言うことで、2月には行く算段が付いてしまった。あとは自分が練習するだけになった。
■練習・練習
練習スケジュール、メニューとしては、とりあえずバイクにたくさん乗って、バイクの脚をつくる事。ランはロングを中心に、改めて走り込む事。メインの練習は5月で終わりにして、6月に入ってからは、スイムの泳ぎ込みとそれまでの疲労を取る事。そんな風におおまかな計画を立てた。
昨年のレースでは、最後のランで全く走れなかった。納得の行くレースにはならなかった。大したランの練習はしていなかったので、それは仕方がなかった。しかしそれを反省して、今年は40キロを超えるランも毎月のメニューに加えることにした。それには境川のランニングコースがちょうど良かった。藤沢橋まで行って帰って来るだけで30キロのコースが取れた。それにオプションを加えれば、すぐに40キロを超える。走るコースは決まった。
恒例となっているランの大会への出場は3月の中旬で終わりにして、その後本格的にバイク練習へとシフトする。フランス大会のバイクは、ツール・ド・フランスでも使われるような山岳コースを登って帰って来るという単純なコース。長い坂を上って行って、最も標高の高い地点は1,200m近くまで上る。上りの合計は2,000m程にもなる。ゆっくりでもいいので何しろロングライド。そう思ってたくさん乗る事にした。きつくてやっと上れる様な山道の練習をやっても仕方ないので、何しろ長い坂道をたくさん走った。
基本的に土曜日はバイク、そして日曜日はバイクまたはロングランという練習スケジュール。天候次第ではそれも入れ替えたりした。そして距離の目標は、それぞれ4月、5月はバイクを1,000キロ、ランは200キロくらいにした。昨年、ドイツを目指していた時は、5月の週末には雨ばかり降っていて、ちっともバイクには乗れなかった。しかし今年は天候も味方してくれて、バイクには十分乗る事ができた。ランなど目標を大幅に超えてしまい、走りすぎだろうと思うくらいだった。バイクもランも十分な自信がついた。
スイムも順調だった。こちらは天候には左右されない。自分の意思さえあればいつでも泳げる。週に2回、マスターズの連中の後に付いて必死に泳ぐ。流れに乗って泳げば速く泳げる。タイムが速いと気持ちが良く、速くなった様な気がして、気分も乗ってくるので更に泳げる。マスターズのメンバーに劣らないくらいのメニューをこなした。そんないい循環で5月も6月もたくさん泳いだ。スイムの自信も十分付いた。あとは大会に参加するだけになった。
■遠征準備
十分に練習をこなし、大会当日までカウントダウンが始まると、疲れを取ることを考え始める。大会まで1週間を切ってくると荷物の準備も考え始める。ハードな練習が終わって大会までの数週間と、大会遠征の準備をしている時が、トライアスリートの一番幸せな時かも知れない。今まで自分がやってきた事への満足感、見知らぬ所へ行く期待感と不安感。それらが交錯して、独特な気持ちが盛り上がってくる。しかも今年は飛行機も例年の様に苦痛では無い、はず…。憧れ?のパリ、地中海のニース。こんないい旅はもう無いかも知れない。すべてを楽しむ事だけしか考えない。
バイクの掃除とパッキングもやらなければならない。レースは綺麗なバイクでやりたい。数週間前にはバイクの調整も終わってメカは完璧な状態になっている。持ち物リストを見ながら、物置の中から必要なものを引っ張り出してくる。年に1回、レースの時しか使わない物も出てくる。またこれらのお世話になる時が来た。だんだんレースのイメージが湧いてくる。
補給食やレースウェアなどはシビアに考えなければならないし、練習用のウェアなどは行った先の事を考えながら荷物に入れる。天候条件など、予想されそうなことを考えて、持ち物を工夫する。そんな余計な事を考えるから、私の荷物は大きくなってしまう。しかし準備をしている時から、もう既にレースは始まっている。それが楽しい。重くなってしまったバッグも、レースのことを考えれば苦にならない。前日にはレース用のバッグもでき上がり、遠征の準備も終わり。あとは朝起きて成田に行くだけとなる。
■6月25日(木)出発
成田の出発は11時過ぎのJAL便。あいにくちょうど良い成田行きの電車が無く、朝早いNEXで成田に向かう。成田着は8時少し前。空港に送っておいたバイクを引き取り、チェックインを早々に済ませる。成田からパリはJAL便、パリ−ニース間はAFのコードシェア便。チェックイン時に、パリ−ニース間で荷物の超過料金が発生する事がわかった。仕方なく預ける荷物を軽くし、なるべく機内に荷物を持ち込む様にする。しかし、こんな事は予想していなかったので、手荷物にするには限度があり、9キロ、約6,000円の料金が掛かってしまった。仕方ないと諦める。帰りにはなるべく機内持ち込みにして、料金が掛からない様にしようと思う。その代わり、という事でもないが、JALのラウンジが使える事になっていたので、朝食や朝からお酒も頂いた。もちろん無料だった。
ラウンジでのんびりして、搭乗時間になった頃を見計らって、ゲートへと向かう。飛行機に乗ってしまえば、後は待つだけ。12時間程でパリに着く。西に向かって飛ぶ時は、時差ボケはまだ楽な方で、現地に着いてから頑張って起きていればいい。だから機内ではなるべく寝る様に努力する。ラウンジでたらふく飲み、機内でもアルコール漬けとなる。そしてできる限り寝る様に努めた。
パリ到着は現地の昼4時過ぎ。ヨーロッパではサマータイムなので、時計は1時間早まっている。だから日が暮れるのは1時間遅い。日本から言えば3時過ぎのはずなので、まだまだ日は高く外は暑い。到着ターミナルが当初予定の2Fからより広い2Eに変わっていた。ニース行きは向かいの2Fターミナルから出るので、わざわざ移動しなければならなくなっていた。しかしトランジットには十分時間があったので、焦る事はない。初めてのパリCDG空港内をキョロキョロしながら移動した。
1時間ほどの待ち時間の後、パリからニースへと予定通り移動した。ニース着は8時頃。まだまだ外は昼の様に明るかった。いつになっても日は沈まなかった。ニースの空港からホテルまでは5キロほど。グーグルで散々確認したところなので、何度も来ている様に全てが分かっていた。便利な世の中になってしまっていた。ホテルで荷物を解き、ひと段落。その後外へ出て、近くにあった中華料理店で空腹を満たした。ニース到着の1日目はこれで終わった。明日からはアイアンマンに臨む1日目が始まる。
■6月26日(金)
到着して2日目、当然の事ながらまだ時差ボケはある。朝早くから目が覚めてしまった。する事も無いのでバイクを組み立て始める。分解するのは大変だが、組み立ての方はまだやさしい。1時間ほど掛けてバイクが組み上がる。トラブルは何も無かった。
ホテルはスイム会場のすぐ前。スイム会場ではスポンサーのスイムレッスンが行われている。朝7時過ぎにウェットスーツを着てスイムエリアに出掛ける。沖合に大きなブイが浮かんでいる。みんなそこまで泳いで行っている様だ。私もそれを真似て沖まで泳いで行った。岸からはかなり先の方に見えたが、泳いで行ってみると、思っていた程遠くはなかった。沖合300mほどだった。フランスの法律では、岸から300m以上離れて泳ぐ事は禁止されているらしい。
軽く泳いだ後にレースのレジストレーション。アイアンマンエキスポの中にその会場があった。パスポートとライセンスカードを提示して登録を済ませる。スタートナンバーは、2708番。番号は事前にメールで知らされていた。番号の通知を貰ってから何となく自分に馴染みのある番号だなぁと思っていた。ある時ふと思いついた。社会に出て仕事を始めた頃に使用されていた半導体の型番だった。懐かしい番号だった。今から30年以上も前の事である。
受付を済ませて、ひといき。ざっとエキスポ会場をひと回りする。エキスポ会場は広く、メーカーなどの出店があり賑やかだった。買いたい物もいろいろ有ったが、とりあえず後回しにする。予定では受付の後にバイクを組み立て、それからバイク練習に行くつもりだったが、既にバイクも組み上がっていたので、昼食後早々にバイクで出掛ける事にした。
バイクコース20キロ地点に10%の坂があるというので、とりあえずそこまでは行ってみるつもりでいた。まず海岸沿いの大通りを空港の先まで行って、空港の先の川を越えたら、その川沿いを北上して行けば良さそうだと思っていた。しかし、その大通りの通行量がとても多い。右側通行でもあるので、初めてそこを走るにはちょっと勇気がいった。仕方なく海側にある自転車専用道で空港まで行く事にする。バイクのコース図を見て、だいたい行けるつもりでいたが、実際にはなかなか簡単ではなかった。空港から先の道路は空いていたが、今度は道が入り組んでいて簡単に川沿いの道路に出られなかった。歩道を走ったり、一方通行を逆走したりしながら、何とかコースと思われる川沿いの道路に出た。暫く走ると、お馴染みのMドットマークが路上にペイントしてあった。矢印も付いていて間違いなさそうだった。暫くは安心して、追い風に乗って気持ち良く走った。
10キロほど行くと、Triという文字と左斜め方向の矢印。その先を見ると、ほど良い上り坂。10%上り坂までにはちょっと距離が短いと思ったが、疑うことも無くそこを左に入り、緩やかな坂を登り始めた。暫くすると、後ろから若いトライアスリートが追い付いて来た。並走して顔を見合わせたが何も話して来ないので、こちらから尋ねてみると、スウェーデンから来たとの事。暑くないかと尋ねてくるので、私はそうは感じないと答えた。あとで考えたら、スウェーデンとニースでは、きっとずいぶん気温が違ったのだろう。暫く並走したが、彼は私を置いて先に行ってしまった。分かれ道などには所々にTriの文字が書かれていたので、間違い無いと思って走っていた。
緩やかな坂を上り続け、メーターを見ると24キロほど来ていた。もうこれ位で帰ろうかと思って地図を見ると地図上では10%の坂も上り終え、つづら折りの坂を越えてしまったところへ来ていた。ちょっとおかしいなとは思いつつ、10%の坂はどこに有ったのだろうかと不思議に思いながら帰って来た。帰る途中、先に行ったスウェーデン人も、おかしい!とジェスチャーで示しつつ帰って行った。レース当日、最初に上り始めた左に入る道の前を通過した。やはりそこは曲がるべき所ではなかった。10%の坂は、もう3キロほど直進しなければならなかった。どうも「Tri」の文字は他の大会のコースの様だった。当日はちゃんと20キロ地点から10%の劇坂が始まった。Mドットマークは左折を示していた。帰り道、海沿いの道路では再び道を間違え、ホテルに帰るのにも苦労した。いなかの一本道という訳には行かなかった。コースを間違えながらも、バイクで40キロ程走って、気持ち良い汗を流してきた。
金曜日の公式行事は19時からのウェルカムパーティ。おおよその場所は分かっているが、どんな所だか予想がつかない。エキスポ会場横からシャトルバスが出ているとの事なので、それに乗って行く事にした。道路が渋滞している事もあり、だいぶ待たされてしまった。日本の様にバスが何台も走っている様ではなかった。渋滞の中、15分ほどバスに乗り、会場に到着した。しかし会場の入り口はシャッターが下ろされ、パーティをやる様な雰囲気は無かった。5分前になってもシャッターは上がらなかった。7時になってやっとシャッターが上がる。大きなイベントホールの様だった。中に入ると小さなテーブルと椅子が数多く配置され、両脇には既に食事も準備されていた。食事の内容は海外では特に変わった様なものでは無かった。パン、パスタ、ピラフ、フルーツ、ケーキなどなど。量が足りないなどと言う事は無かったが、あまり美味しいとは言えなかった。食事をしながら何かイベントでもあるのかと期待して待っていたが、何も始まらない。昨年の写真、ビデオがスクリーンに映されていた。1時間もすると、帰り始める参加者も出て来たので、キリのいいところで引き上げた。帰りの足をどうするか、地図を見ながら考えていたら、親切なフランス人が歩いて行っても直ぐだと教えてくれた。ホテルまでのんびり歩いて帰って来た。
金曜日の行事はこれでおしまい。土曜日は、今日と同じ朝のスイムと、午後からのバイクチェックインを行う。
■6月27日(土)
昨日と同じ様にホテルからウェットスーツを着て出かける。割合に強い風が吹いているが、波は立っていない。少々うねりがある程度。これ位ならスイムには全く問題ない。昨日と同じ位に、軽く泳いで終わりにする。
朝食の後、レースギアの用意をする。いよいよレースの準備が始まる。レースの展開を予想しながら、必要な物をトランジッションバッグやスペシャルニーズバッグに詰めていく。気分はレースモードに変わってきた。まずはウェアから。ランニング用は天候を考えて、タンクトップとノースリーブの2つ、パンツは股ずれしない様にハーフスパッツ。はきなれているので柔らかくていい。あとは5本指ソックスにシューズ。レース後に分かった事だが、このシューズはもう寿命が来ていた。ソールとアッパーが剥がれ始めていた。使い始めてからだいぶ経っていたので、多少の心配はあったが、レース中に剥がれる事が無くて良かった。
バイク用のウェアは特に考える必要は無い。ジャージ、パンツ−これはスイムの時に着ているのでバッグには入れない。ヘルメット、サングラス、バイクシューズ、補給食用のウェストバッグ。ウェストバッグには、あとで補給食を入れるので、これもバイク用バッグに入れない。明日の朝、おにぎりなどを詰めて、バイクにセットする。長い上り坂を登り終わったあと、下りがどんなものか気になっていた。長い下りで寒くなる様な事はあるのか。バイクの下りの寒さ対策は、やはり新聞紙だろう。これをお腹に入れて寒さをしのぐ。その為に、日本からわざわざ新聞紙を持ってきた。バイクのレベルはともかく、やる事はプロ並みか。これは、70キロ地点のスペシャルニーズバッグに入れることにした。これでウェアは終わり。
ウェアがひととおり終わると次は補給食を用意する。ランでは補給食のことはあまり考えなくていい。大会で用意されているパワージェルとコーラを飲んでいれば完走することはできる。暑さが予想されたので、スポーツソルトだけはウェストバッグに入れて走る事にした。問題はバイクだった。やはり食料にはおにぎりがいちばんである。アルファ米の白飯と赤飯を用意した。これに梅しそのふりかけをまぶして食べるのが一番だろうと思った。今年はういろうは無かった。いつもの物が手に入らなかったので、代わりに甘い羊かんにした。それから、濡れせんべいに梅チューブ。これは今まで使っていてそれなりに気分転換に効果があったと思う。そしてジェル。これはいつもの様にカーボショッツとパワージェル。今年はパックそのままではなく、フラスクに入れた。パワージェルはそのままでは出てこないので、クエン酸の酸っぱいスポーツドリンク、メダリストで溶かした。結果的にはこれはとても良かった。そして更に良かった物が、「ソフトフラスク」だった。バイクのメンテナンスを頼みに行ったとき、王滝のレースでとても使いやすかったと言うのを聞いて、思わず買ってしまった物だった。どんな物だかレース前に一度も使わなかったが、これは自信をもって薦められる。ソフトフラスクにはカーボショッツを入れて、同じ様にメダリストで溶かした。これで、おにぎり以外は全て用意ができた。あとは、寝る前に明日の朝ご飯と補給食のおにぎりを用意すればよかった。
トランジッションバッグとスペシャルニーズバッグの準備もできた。あとはバイクと一緒にチェックインすればいい。スタート番号の大きい年配者のチェックインは、一番早い2時から3時の間。年寄りをいたわっての事だろうか。あるいは年寄りはせっかちだからか。後の事を考えて、早めにチェックインに出掛けた。
ニースのバイクチェックインでは今までに経験の無かった事が2つもあった。レジストレーションの際に貰ったリストバンドにはICチップが埋め込まれていた。IDタグと言うものか、選手は荷物扱いかもしれない。更にバイクにもタグの埋め込まれたチップを付けさせられた。アスリートのIDとバイクのIDでマッチングし、更に最後のバイクチェックで、バイクと一緒に写真まで撮られた。何という厳重さか。過去に余程のトラブルでもあったのだろうかと疑ってしまう。ここまでやらなくてもセキュリティは保たれるだろうにと、余計なことまで考えてしまった。また、バイクの引取りの際に、写真のチェックまでしていたのかは疑問だった。そこまでのシステムを作るにもずいぶんと費用も掛かっただろうに、と思った。開発の担当者はご苦労様でした。当の選手はそこまで考えずにバイクをラックに掛けていく。これで土曜日のイベントは終了。あとは美味しい食事を取って、ゆっくり寝てくれという事だった。そこまで選手用のマニュアルには書かれていた。
バイクのチェックインが終わって3時。まだまだ日は高い。まわりも、土曜日はこれからという感じ。少しはニースの街を楽しむ事にする。
夕食は6時過ぎ。何を食べようか考えたが、やはり近場で食べ慣れているものとすれば、中華がいちばん。ここに着いた初日に行った中華屋に行って、たらふく食べる事にする。他の人が頼んだ物を見ていると、白いご飯も貰っている。ショーケースの後ろにご飯が置いてあった。ご飯とシュウマイ、餃子、ほとんどいつも食べているものと同じものが食べられる。ゆっくり、たらふく食べて8時前には食事も終えて、ホテルに帰る。シャワーを浴びて9時前には、床に就く。明日は3時半に起床の予定。