2009-10-18珍しく生かせた昨年の反省・・・第15回四万十川ウルトラマラソンMr.ビーン

 10月18日、朝3時起床。昨夜コンビニで買った300円の助六寿司を食べ、500mlのペットボトルにヴァームを溶かして準備は全て完了。トライアスロンと違ってウルトラは仕度が簡単だ。中村の市街からスタート会場へ向かうバスは3:30から動き始める。同室の二人は、あまり早く会場に行っても寒いだけだし、などと言っているので一足先に宿を出る。今回の宿は民宿で食事なしの二泊、3人の相部屋、つまり一番のローコストプランである。中村の町の真ん中あたりで、コンビニも100mくらいの場所に二軒もあって便利なのだが、大会が運営する循環バスの終端にあたるため、ゴール会場からは多少時間がかかる。

 玄関で女性のランナーと宿のおかみが話している。なんでも愛知まで今日中に帰るという。4時半までにゴールしないと特急列車に間に合わない、などと言っている。それじゃゴールからそのまま駅まで走るんだね、というと、そうする積もりだという。この大会は関西方面なら高速バスもあるので、レース終了後そのまま帰ることも無理ではない。もちろんゴールタイムが早いことが前提である。

 3時50分発の2番目のバスに乗って会場の蕨岡中学校へ。昨年の反省事項である「トイレは宿で」は、先ほど済ませてきたのだが、どうも納得のいく仕上がりではなかった。体育館でストレッチをしながらタイミングを計る。昨夜は8時過ぎには消灯したのだが、どうも寝付かれず一晩中浅い睡眠の中で過ぎてしまった。まあそれは問題ないし、同じ大会に三回目ともなると緊張感もいまひとつで、高揚感にも欠けるのだが、周囲を見たり状況を把握する余裕は出来るようになる。トイレはグランドの仮設のほかに、体育館に付属のものがあり、これには先ほどから10人ほどの行列ができている。そろそろ並ばないと昨年の轍だな、と思い、列に並びながらストレッチの続きをする。やがて番が来て無事完了、これで準備万端である。

 5時をまわり、グランドでは開会式が始まっている。ブレーカーを脱いで黄色の紐がついたゴール行きのバッグに入れる。自分はウルトラ用のスタイルは特になく、先週の横浜―湯本ランと同じショートスパッツに半袖シャツだけ。ちょっと寒いのでスタートのときだけビニール袋を着ているがこれは途中のエイドで棄てるつもりである。

 ピンクの紐がついた62キロ地点のレストステーション行きのバッグには半袖シャツの替えを一応入れてあるが、とくに着替えるつもりはない。あとは赤牛印飲料を一缶、最近のハードなバイク練習では効果的だったので、これも入れてある。スタート前に、宿でもらったバナナを1本、それからカロリーメイトを2本食べる。ヴァームは500cc全て飲み終わり、会場でもらったCCDをこれも500cc飲んでいる。ヴァームはここしばらく使ったことがなかったが、昔愛用していた頃はそれなりに効果があったと思っている。

 5時15分、バッグを預託してスタートに移動する。土手の上には50mほど前方にアーチが見え、注目選手の紹介が行われている。まだ真っ暗な中、かがり火が燃え太鼓が打ち鳴らされて、密集したランナーたちのざわめきが静まっていく。やがてスタート5分前、ビニールを脱いで小さくたたみ、スパッツの背中に挟む。今年は雨の心配はまずなく、天気が良すぎて暑くなるのが懸念される。

 5:30、スタート。ゴールラインまでは足踏み状態だが、それでも1分まではかからない。集団の中、ペースが上がり過ぎないように、いつものようにコースの左端を走る。最初の1キロ、2キロのタイムは約8分。まだペースは保てていない。やがて集団がばらけてきて、全体のペースが上がっていくが、ひたすら自重してキロ7分のペースを作ろうと意識する。

 5km 00:37:28
 スタート直後のロスタイムを計算に入れると、ほぼ7分/kmのペースになってきた。まだ周囲は真っ暗。ところどころにサポートの四国電力の車やボランティアの車がヘッドライトでコースを照らしている。昨夜、中村市街では雷が鳴り、一時激しい雨が降っていたのだが、今のコース上の路面は濡れた形跡もなく走りやすい。

 10km 1:11:51 (5kmLAP 0:34:23)
 ようやく空は明るく、青みを帯びてきた。ほとんど雲らしい雲もないようで、このまま晴天になると暑さが思いやられる。もっともコースの前半、40キロまでは木陰の多い山中を走るので、日差しの心配はない。

 15km、0:00:00(5kmLAPはおそらく35分ジャスト位)
 注意していたつもりなのだが、15キロの表示を見落としてしまった。5キロ区間の表示はたいていエイドステーション(ウオーターステーション)の前後にあるのだが、まだ周囲にランナーが多いので見過ごしてしまったのだろう。朝からのウオーターローディングのせいで、先ほどからトイレのタイミングを気にしていたせいもある。そろそろ上り坂にかかってきたので、やむを得ず、道端の陰になったところで決行、ロスタイム1分。

 20km 2:24:01 (10kmLAP 1:12:10)
 頂上が近づくと歩き出す選手も増えてくる。坂では歩いても走ってもたいしてスピードは違わないのだが、とりあえずコース上で歩かないのと、エイドの補給で休まないのが今回の決めである。

 25km 2:59:19 (5kmLAP 0:35:18)
 20kmのチェックポイントを過ぎ、21kmにエイドステーションがある。カステラとバナナ半切れ、おにぎり2個、梅干しをとる。ここが頂上でここからコースは下りになる。30キロ過ぎまでの延々10キロも続く下りなので、走り方に要注意である。ヒザを痛めないよう、スピードを上げすぎないように気をつけながら走る。周囲のランナーのペースは上がり、どんどん追い抜かれていく。

 30km 3:32:31 (5kmLAP 0:33:12)
 自分は普段大きめのシューズをあまりきつく締めずに履いているのだが、9月の末に箱根のトレイルを走ったときに、両足の爪が内出血して浮いてしまったので、今回のシューズは遊びのないややきつめのものを履いている。このシューズは先週、湯本の60キロランでも履いたものなので大丈夫だと思い、それも下り坂を意識していつもよりきつめに締めているのだが、これが下りの途中できつくなってきた。足の甲が圧迫されて痛いのだ。途中のエイドでシューズの紐を2回ほど緩めるが、かなり痛みが気になっている。

 35km 4:01:52 (5kmLAP 0:29:21)
 32キロを過ぎると、それまで深い谷底を縫うように続いてきた道は、明るく開けた四万十川本流の川沿いに出る。これからは四万十川の本流に沿って、コースは緩やかなアップダウンを繰り返しつつ中村のゴールを目指していく。時刻は9時半を過ぎ、空は青空と雲が半々で、時おり照りつける日差しは強いが、暑さを感じるほどではない。

 40km 4:34:41 (5kmLAP 0:32:49)
 昨年は10キロ地点とこの40キロ地点の2度、トイレタイムをとったのが失敗であったが、今年見るとここのトイレは扉が紐でゆわえてあり、昨年も相当ボロかったが、今年はとうとう壊れそうになったものか、使用禁止になったのであろうか。今年はお世話になる必要もなく、懐かしく眺めて通過する。40キロ地点では60キロの部が10時にスタートしている。川の右岸に見えるスタート会場で後片付けが行われているのが見える。約5分差で後を追いかけていることになる。

 45km 5:08:46 (5kmLAP 0:34:05)
 42キロのフルマラソン地点の通過タイムは4:50。このタイムはこれまでの2回とほぼ同じくらいである。昨年はトイレのロスタイムをここまでで取り返しているので、その結果下り坂で無理をしていたことになる。今回は30キロまでの急な下りをかなり抑え、坂が平坦になる40キロまでの区間はキロ6分近くまで、これはあまり意識せずにスピードアップしている。

 50km 5:41:49 (5kmLAP 0:33:03)
 先行している60キロタイプの選手が混ざってきてランナーの数は一気に増える。40キロ過ぎから何度か四万十川にかかる橋を渡るのだが、過去2回よりもはるかに川の眺めは素晴らしい。土地の人によると四万十川も昔ほどきれいではないらしい。この川は上流に大きな町があるため、生活廃水が流入し、昔はなかった合成洗剤などによる汚染が進んでいるという。しかし、それでも周囲の山々は雄大で、その中を悠々と流れる四万十川と人々の暮らしは調和しているように見え、日本最後の清流というキャッチフレーズは、まあ許されてもよいか、と思える。
 50キロのタイムは5:42、単純に2倍すると11時間24分か、ウルトラはそんな訳に行かねんだよなー、などと思いつつ、62キロ地点のレストステーションをひとまずの区切りとして目指す。

 55km 6:16:28 (5kmLAP 0:34:39)
 50キロを過ぎると沈下橋があり、ここを渡って折り返す。やがてこのコースで2番目の上り坂にかかる。約1キロ続くこの坂は、15キロ地点の最初の長い坂より気分的にも肉体的にもつらい。前後にいるほとんどの選手は坂の最初から歩いている。自分はもちろん走る。

 60km 6:50:16 (5kmLAP 0:33:48)
 時刻はすでに昼ちかく、周囲が開けた場所では時おり向かい風が強く吹いている。あいかわらず天気は良く日差しは強いが、南国とはいえすでに秋の風は涼しく、むしろ心地よい。昨年はここら辺を隊長と併走したのだな、と思い出す。
 62キロ、レストステーションに到着。バッグを受け取り、芝生へ。ちょうど腰掛けるのによいコンクリートの構造物があるので、腰掛けて先ほどから気になっていた擦れる部分にワセリンを塗る。そしてかねて用意の赤牛ドリンク。テントではおにぎりを2個、味噌汁を3杯、カステラを1個。バッグを返却し、トイレを済ませて再び走り出す。コースへ戻るまでのわずかの坂がつらい。休憩のロスタイムは13分程か。

 65km 7:37:13 (5kmLAP 0:46:57)※約13分の休憩を含む
 60キロを過ぎて風は北からの追い風に変わったようで、気のせいか走りやすい。70キロの手前でもう一度沈下橋を渡り右岸に出る。1キロほど先で左岸へ戻る大きな橋の手前にわずか10mほどの折り返しがコーンを並べて作られており、これは距離を調整しているのだろうか。100キロってそれほど正確なのだろうか?

 70km 8:10:29 (5kmLAP 0:33:16)
 この大会はエイドやボランティアの体制が充実していることは以前にも書いたが、住民の応援も盛んである。集落を通過するたびに、住民が総出かとも思えるほど沿道に出て応援してくれる。子供たちは並んでハイタッチを求め、何人ハイタッチしたなどと喜んでいるし、一人一人に「がんばれ」と声をかけ続けている人もいる。椅子に並んで座っているだけの老人も大勢いる。笑顔を向け、目が会うと顔をしわだらけにして笑う。できるだけ応援に応えようと、笑顔を向けつつ走るのだが、そういえば自分の母親だってたいして変わらない年だなー、最近こんなにいい笑顔にしてあげたことなんてなかったなーと思う。

 75km 8:46:24 (5kmLAP 0:35:55)
 70キロを超えると、エイドで休む時間が長くなり、もちろん走るのもつらいからペースが乱れてくるのがこれまでの常である。5キロの表示になかなかたどり着かなくなるのだ。この大会のもう1つの美点として距離表示が1キロごとにあるのであるが、今回はどうやらキロ7分のペースがずっと維持できているようなのだ。5キロごとのタイムチェックの間に、3キロのタイムを見ているのだが、20分から21分で通過できている。これがどのくらいまでキープできるか、出来るところまでやって見ようという気になっている。

 80km 9:21:52 (5kmLAP 0:35:28)
 相変らずマイペースを保てている。先ほどからエイドのたびに抜かれ、途中で追い越すというパターンを繰り返しているランナーがおり、この人は背中のゼッケンが破れ落ちており、年齢は自分よりやや若いくらいだが、非常にペースが合っている。この人に遅れないように行こうと思っている。ひょっとすると、このままのペースで行ければ12時間が切れるのではないかと思い始める。いやしかし、そんなに甘くはないはず、と一方では思う。とにかく集中を切らさずに、タイムをしっかりチェックしながら走る。

 85km 9:55:38 (5kmLAP 0:33:46)
 コースは一部国道と合流しており、車の通行が多くなる。もちろんボランティアとガードマンが配置されてランナーを優先して通してくれるのだが、道幅も狭いため走るのに気を使う。歩道のある部分もあるのだが、足が上がらずちょっとした段差でもつまづく恐れがあるから、なるべく車道を走る。ひときわ大きな集落があり、ここを過ぎると再び車は少なくなる。12時間まであと2時間。残り15キロだから、3で割ると5キロラップは40分でいいのか、それならキロ8分ペースまで落ちても何とかなりそうだが、いつパッタリと足が動かなくなるかもしれない。セメント工場を過ぎると90キロである。

 90km 10:30:02 (5kmLAP 0:34:24)
 まだ足は動いている。まてよ、まだキロ7分で走れているから、このペースが長く保てる分だけ12時間からお釣りがくることになる。12時間まであと1時間半で残り10キロ、このままキロ7分ペースで行ければ11時間40分が最短の目標になる。

 95km 11:05:01 (5kmLAP 0:34:59)
 どうやらこのままのペースで行けるかも知れない。コースは最後の2キロから川の上の狭い崖っぷちの道になり、この1キロほどの区間には発電機が並べられ、毎年自分が通過する頃にはほとんど暗くなり、照明が点灯されている。ところが今年はまだ発電機を回す用意すら始めていないのだ。この区間、木の間隠れに右側に川面を眺めながら走るのは初めてだ。これなら明るいうちにゴールできるかもしれない。
 川沿いの道を抜けるとすぐに左折、ここから中村の市街地に入り、住民が大勢で「お帰りなさい」と応援してくれる。最後の1キロ、毎回つらい上り坂を越え、中村高校へ向かう下り坂になる。坂を下って右折する場所にはいつもは大きなかがり火がたかれているのだが、これも今年はまだ火がつけられていない。ここからゴールのグラウンドまでが長い。コースの両側から応援を受けながらゴールへの曲がりくねった路地を走る。自分のゼッケンと名前をアナウンスされて、グラウンドへ。

 100km 11:40:30 (5kmLAP 0:35:29)
 ゴール、100キロで初めての明るいゴールだ。ボランティアの高校生が椅子に案内してくれ、シューズの紐を解いてRCチップを外してくれる。アイシングの氷の袋も2つくれる。まてよ時計を止めてなかった。タイメックスを見ると11時間42分ほど。でもゴールしてから2分くらいたっているから、40分前後だろうと思う。走り終わってみると、もうどうでもよいように思えた。

 バッグを返却してもらい、休憩用の柔道場でしばらく休む。うどんを買って食べながら、それでも3回も出場した甲斐はあったな、などとしみじみ。今回は何となく申し込んで、何となく来てしまったような気がしていて、いまひとつ積極的な目標意識を欠いていたのではあったが、ひとまず結果オーライである。ベストタイムを出してやろうなどと最初から思っていたら無理だったかもしれない。結果的には100キロで30秒の誤差であったが、ぴったりキロ7分。なんとか最後までペースダウンせずに走ることが出来た。

 宿に帰ると、当日帰りの1泊組み以外には2泊の選手はまだ誰も帰っていないという。こんなことも初めてだ。狭い3人部屋でコンビニの弁当を開いて一人、ビールで乾杯。早々と布団にもぐりこんだ。

2009 第15回四万十川ウルトラマラソン
2009年10月18日
ナンバー:2362
        スプリット ラップ    通過時刻
Start              0:01:18
20km    02:24:01   2:22:43   07:54:01
40km    04:34:41   2:10:40   10:04:41
60km    06:50:16   2:15:35   12:20:16
80km    09:21:52   2:31:36   14:51:52
Finish  11:40:30   2:18:38   17:10:30

タイム(グロス) 11:40:30
タイム(ネット) 11:39:12
種目別順位  56/236(男子50歳代)
総合順位   271/911


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