2008-9-7 雨に救われた佐渡トライアスロン タケ1

 昨年、数年ぶりに日産大会でトライアスロンに復帰し、来年は佐渡Bタイプくらいには出場したいと話をしていたが、いざ今年になると3日間も休んで大丈夫?と不安になる。サラリーマンと違って有給休暇があるわけではない。休めば休んだだけ収入が減るという現実。会社を辞め、この仕事を選んだのだから文句は言えない。

 そうこう悩んでいるうちに佐渡大会の申し込みも始まった。ここで決断しなければ。今まで夏休みも取ったこともなかったので、今年は遅い夏休みを取ろうと話が纏まり7年ぶりの佐渡出場が決まった。

 Bタイプとは言え、バイクは105km。小木の坂もある。まずはバイク練習。数年ぶりに鎌倉山、湘南国際村、善波、梅林、ヤビツ、半原と昔は毎週のように行っていたバイクコースに行った。平日休みなのでほとんどが一人であったが、休みが合った時は、塚越さん、川島さんと一緒に練習し、一人では味わうことの出来ない辛さと楽しさを実感した。やはり練習会は楽しい。

 スイム、バイク、ラン。トライアスロンは3種目の練習をしなければならないので大変である。サラリーマン時代も今以上に忙しかったが、何故か練習は出来ていた。頭を使う仕事か身体を使う仕事かの違いで、こうも違うものなのだろうか。あとはモチベーションの問題か。佐渡出場を決めてから、スイム、バイク、ランと物凄く少ない練習量であったが、何とか完走できるレベルとなり、スタートラインに立つことができた。完走レベルと言っても目標タイムはあるもので、今回は6時間30分を目標とした。

スイム
 のんびり行くつもりなのにスタート前はやはり緊張する。一番左側からスイムはスタートした。遠浅なので周りは走り始めるが、慌てることはないと歩いて進む。これが後で後悔することに。腰くらいの深さになってから泳ぎ始め、前に進んでいくと大渋滞。前が詰まってなかなか前に進めない。しかたなく思わず人の上に乗っかって泳ぎ、パスしていく。バトルも凄い。こんな事ならば、最前列から走って行けば良かった。バトルは第一コーナーまで続いた。その後は、バトルを避けるためにコースロープから離れたところを泳いだ。周りを見ながら、自分とペースの合いそうな人を探し、くっ付いたり離れたり。たまに前を横切る人がいて、あれ?と立ち止まると、その人はとんでもない方向に泳いでいる。自分も気をつけなければ。

 佐渡の海は綺麗で泳ぎやすい。人から離れて泳いでいると、首にチクリと痛みが。クラゲだ。これはマズイと思い、コースロープ側へ戻り、前に泳いでいる人がいれば自分は刺されないだろうという考えから、人の後ろに付いて泳ぐことにした。第二コーナーを回り、あとは岸へ向かうだけ。遠くに灯りが見え、そこを目指して泳ぐ。赤いキャップのAタイプの選手もちらほらと見え始めた。岸も見え始め、ここで恒例の○○タイム。スッキリさせて最後のダッシュ。

 岸では黄色いシャツの小林さんが手を振っている。手を振って時計を見ると38分台。まずまずのタイムでスイム終了。

バイク
 今回のバイクは今までとは違ったことを行った。今まではトランジションタイムを削るために、そのままバイクシューズを履いてすぐ出て行ったが、先を急ぐこともないので、靴下を履き、グローブを付け、OS-1を一本飲んで余裕のトランジション。最初の市街地は平坦のためにガンガン抜かされる。まだ先は長いのに、そんなに急いでどうする。今までの自分だったら同じように行っていたはずだが、練習量が不足しているので後半のことを考えると抑えざるを得ない。Ave30km/hで行けば良いと自分に言い聞かせて走る。途中からAタイプのランコースを走り、T字路の神社あたりから緩やかな登り。ここでペースが上がらずズルズルと後退。最初の住吉ASでパワージェルを補給。今回の補給はパワージェル4個(25kmで1個の計算)とアスリートソルト。夏場のバイク練習では大汗をかき、練習から戻ると体重が3kgも減っていたことから塩分補給にアスリートソルトを選択。バイクボトルにはOS-1とアミノバイタル。暑さ対策用である。住吉ASを過ぎてから登りが始まった。佐渡の登りは小木の坂だけという記憶だったが、短いながらもそこそこの登りがあり、登りの練習をしないと駄目だなと感じた。

 登りでは身体が重くペースが上がらない。まだ30kmくらいしか来ていないのにこれでは先が思いやられる。マイペースで走っていたその時、10人くらいの集団が後ろからやってきた。西湖合宿に参加した卯月(静)さんもいた。その瞬間、体が反応してついて行く。その頃からポツポツと雨が。と思っていたら除々に強くなり、土砂降り。スタート前は、雨は持ちそうだと言っていたのに・・・・・。土砂降りの中を走っているとマーシャルのバイクが待ち受けていた。前を走っている選手が捕まって止められた。暫く走っているとまた後ろからマーシャルが来て、次々と前の選手が止められる。競技説明会で今年はバイクマーシャルが取り締まりを行いますと話していたが本当だった。前の選手や自分の後ろにいた選手が次々と止められ、いつしか集団はバラバラに。5,6人は捕まったのではないだろうか。ドラフティングに気をつけて走って良かった。

 雷が鳴り雨は土砂降りと最悪のコンディションのはずだが、この時期の雨は慣れてしまえば気持ちが良い。暑い中を走るよりは楽である。但し、サングラスが失敗。暗い山道では路面が見にくく、更にレンズが曇って視界を遮るためスピードダウン。周りにいた選手からは離され一人旅になってしまう。この土砂降りの雨の中、応援してくれている人がいるのは有難い。感謝の気持ちを込めて、バイクに乗りながら手を振った。赤泊を過ぎ、いよいよ小木へ。小木ASを過ぎ右へ曲がると小木の坂だ。

 雨も止み、この坂をクリアすれば残りは25kmほど。登り始めは斜度もあるが、一人、また一人とパスして行ける。快調と思っていたら、卯月(静)さんに抜かされた。平地で千切ったと思ったのに追いつかれてしまった。急坂を登り、ダラダラ坂を登り、これで終わりと思ったら坂はさらに続く。隣を走っているピナレロの人と「ここはキツイですね〜」と話しをしながら登っていく。この人と、卯月(静)さんとは、坂で抜いて、下りで抜かれ、そしてバイクゴールまでデットヒートを繰り返すことになってしまった。小木の坂、そしてもうひとつ坂を越えればあとは平地。昨日、見学に行った佐渡歴史博物館の案内看板も見え、佐和田まではあとわずか。ランの塚越さんとすれ違い、商店街を抜けるとバイク終了。心配のバイクであったが、雨に救われ何とか走りきれた。

ラン
 雨ですっかり濡れてしまった靴下を脱ぎ、裸足でランシューズを履いてスタート。ここまで4時間20分。ランを2時間で走れば目標どおり。駐車場脇の公衆トイレに寄り、すっきりさせてから走り始めた。ランは無理せず6分/kmで走りきることを目標とした。いまの練習量からするとこれがやっとのレベル。バイクの川島さんとすれ違う。20〜30分差かな。5km地点の金丸ASで27分。6分/kmを切って走っている。雨が止み、暑くなってきたので、ASでは頭から水をかぶって体を冷やす。水分補給をし、バナナを食べる。バナナを食べたら不思議と元気が出てきた。田んぼ道で塚越さんとすれ違いハイタッチを交わす。差は5kmちょっとだろうか。田んぼ道を過ぎると、そこからは緩やかなアップダウンが続き我慢の走りとなる。次のASでもコーラに水にバナナを取る。バナナを食べると何故か走れる気がしてきた。折り返し地点の畑野ASでの5kmラップは28分。落ちることなく良いペース。ここでもバナナを食べる。応援に来ていた滝川さんには、「バナナは一本だけ。早く走れ!!」と渇を入れられる。折り返して暫く行ったところで川島さんとすれ違う。足を気にしていたが、ここまでは何とか走れているみたいだ。次の宮川ASでもバナナ、コーラを頂く。行きはアップダウンがきついと感じたが、帰りはあっという間に田んぼ道に出てしまった。この頃から腹が張ってきて、トイレに行きたくなってきた。ASごとにバナナを食べたのが原因か。走るとトイレに行きたくなる。立ち止まって我慢するとおさまってくる。騙し騙し行くとお腹も落ち着いてきた。関谷さんとすれ違い、その後まもなくイチローさんとすれ違う。イチローさんは元気に走っていたので「関谷さんが前にいるよ」と気合を入れる。帰りの金丸ASではバナナは止めて、コーラと水だけにした。

 生コンプラントを過ぎて曲がると、あとは一直線。しかし、ラストの5kmが非常につらく長く感じる。さらに裸足で靴を履いたために足が擦れて痛い。靴は血で真っ赤に染まっている。バイク時の雨で靴下が濡れることを想定して、ラン用の靴下を用意しておけばよかったと後悔。この頃になってもバイクで戻ってくるBタイプの選手がいるのには驚いた。商店街に入り自分の名前がコールされる。応援の人とハイタッチを交わしながら走る。角を曲がればあと少し。後ろから選手が近づいてきていたので最後の力を振り絞り必死に走る。ゴール後はグッタリし、芝生の上で寝ていた。結果は6:14:28。雨に救われたレースであったが、少ない練習量でここまで出来たのだから、今の自分にとっては満足のいく結果だと思う。

 佐渡が終わってリザルトを眺めていると、練習すればまだまだ出来る。そしてIRONMANに出場したいという思いが強くなってきた。来年、いや再来年。JAPANか他の何処か。いつになるか分からないが、再びIRONMANに出場することを夢見て練習をしていきたい。


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