2008/11/16 第3回 湘南国際マラソン 初フル完走記
−涙の42.195k(要ハンカチ)−

 自動車専用道路の西湘バイパスを左に曲がり、大磯プリンスホテルへと続く道に入った瞬間...私の目にあふれた涙が止まらなかった。汗が落ちる帽子のひさしで顔を隠すように涙をぬぐった。それでも止まらない、、、嗚咽が漏れた、、、「涙もろいなー俺は、いい大人が声を出して泣くなよ!!」気持ちを切替、最後は笑顔でゴールしよう。最後の坂を上り、涙を拭いて、顔を上げ、前を向いて、笑顔でフィニッシュした。初フルマラソンを4時間10分24秒で完走した。

 鉄人クラブに入ってから、全ての練習距離が飛躍的に延びている。スイムは500mが3kmへ、バイクが家の近所から100k越え、そして今回ランが、6kからフルへと延びた。日産カップが終わり、次の目標が今回の「湘南国際でフルマラソン・サブ4・デビュー&イチロー対決」だった。夏場の走り込みを重視し、7月、8月、9月と月間300kに手が届く勢いで走りこんできた。夏のど真ん中に20kを1時間45分程度でコンスタントに走れていた。秋になれば、もっとスピードが出るだろうと、楽観していた。サブ4が見えたなーなんて天狗になっていた。が、10月の箱根〜湯元で全ての自信を失ってしまうことになった。横浜から二ノ宮までの43kを6時間もかかった。20k過ぎから足が痛くなり、太ももの感覚が鈍くなり、30k過ぎからは、ライバルイチローと二人でほとんど歩いていた。「一人だったら、大磯で電車に乗っていたなー イチローありがとう!!」と、今思い返す。とりあえず、「フルの距離を体験しよう」と二ノ宮まで這うように歩いた。

 原因はスタミナ切れだ... 湘南国際まで残り1ヶ月、それまでの練習スタイルをロングのLSD重視に切り替えることとし、1周2キロの周回練習はしばらく封印した。鎌倉、稲村ガ崎、江ノ島、を週末に往復。また、タケ1号、JR、ジャムおじさん、55セッツとのサーズデイ ラン&スパ練習会で少しずつ長い距離が走れるようになった。1kのスプリットタイムより10kを1時間で、4時間走り続ける事を意識しながら練習した。それでも、30kを過ぎると足が痛く、歩いてしまうことが多かった。「だめだー、こりゃー、サブ4なんてとんでもない、サブ5すら危ない、時間内完走がやっとだな」と完全に自信をなくしてしまった。「棄権するか...」真剣に考えた。事実、週末の仕事が忙しく、口実はいくらでもつく。フルマラソンへの甘さと、練習不足を仕事で誤魔化す事を考えていた。

●棄権する口実を求めた前日の受付(神は私に30分の時間をくれた)
 前日は、仕事。某銀行のセンターで作業しその足で大磯に向かった。「棄権するか」迷っていた。仕事が終わったのも微妙な時間だった。「大磯まで、ギリギリだな」「やっぱり棄権するか」、まあ、行くだけ行ってみるか...大磯の周りは結構渋滞が激しく、FMの渋滞情報を聞きながら、プリンスの坂道を上っているところで、19時の時報を聞く。

 あーれー。天を仰いだ。出れないのか...「間に合わなかった」と「棄権」の口実が出来た、これで良かった。のかもと...弱音を吐いた自分が恥ずかしかった。駄目もと受付まで行って見よう。と、車を止め、ホテルのロビーで受付の場所を聞く。「結構離れていますよ。」と「受付は19時までと聞いていますよ。」とホテルマン。だめかー。でも、走った、途中でラン練習をしているNBシューズのランナーをサンダルで追い越した。走った。走って、走って、受付を目指した...と途中で、
「30分 延長されましたよー」受付を終えた人が声を掛けてくれた。
「急がないでも大丈夫ですよー」の声にへなへなと走る足を止めた。
「あー良かった」。本当に良かった。この時、神の声が聞こえた、「あなたに30分の時間をあげました。逃げてはいけません。」と...神の存在を信じていないが、本当に聞こえたような気がした。踏ん切りが付いた。出よう。走ろう。完走できなくてもしょうがない。逃げるのはやめよう。楽しもう。

 アンケートに、「前日の受け付けはやめて欲しい。」と「江ノ島スタートゴールに戻して欲しい」と書いて受付へ...、Tシャツもらって、辺りは真っ暗。周りのブースは全て店じまい...何の為の前日受付なのか理解できない。暗闇の向こうから、バイパスを走る車の音と、かすかに聞こえる波の音と、潮風に、「明日この場所で、デビューするぞ!」と再度気合を入れ直した。家に帰り、Tシャツを見ると、42.195にチェックマークが付いている、ちょっとぞくっとした。嫁が羨ましそうな顔で見ている。

 朝5時に起き、お餅を食べ、嫁に「楽しんでくる」と宣言した。「がんばる」と言う言葉は使えなかった。そんな私に気付いているのか「無理せず、楽しんできてね」と笑顔で送り出してくれた。

 逗子から大船乗換えの電車は既にラッシュ状態。参加者はいいけど、関係ない人はいい迷惑だなー。やっぱり、江ノ島スタート、ゴールがいいな。江ノ島だったら、JR、小田急、江ノ電に分散されそうな気がする。大磯で降りて、歩いて向かう、途中でタケ1号から集合場所のメールをもらい、無事合流できた。日産の時もそうだったが、みんな出足は早いなー。55セッツにごみ袋をもらい簡易カッパ作る。みんな用意がいいなー。またまた関心してしまう。外は雨が降り出している。

●スタートラインに並ぶ、迷惑なやつ(それは俺)
 タケ2と話しながら、前へ、前へ、4時間を超え、3時間の辺りでうろうろしているとダニエルと合流、「おー、もっと前に行こうぜ!」で、さらに前へ。雨が降っているが、簡易カッパで寒さは和らいでいる。開会式をまぢかで見ながら、変な緊張は無かった。落ち着いていた。
今回の目標を

 1.最後まで歩かない
 2.励ましてくれたイチローに勝つ
 3.そして、楽しんで走る

サブ4を目標から外した。気持ちが楽になっていた。...もともと無理な目標だ。それにしても、こんな前で良いのか?スタート前、ダニエル、タケ2とお互いの健闘を誓って、拳を合わせる。

●スタート〜10k 55分03秒で 1k 5分30秒ペース
 それにしても、ずいぶん迷惑なところに並んだな。周りのランナーにがんがん抜かれる。なるべく、道の端によるが、そのさらにインから抜いていくランナーもいる。「ごめんなさー」と心の中で。でも、これが良かったと思う。後ろに並ぶと、追い上げることを意識してしまいそうだ。自分では、キロ6分を意識していたので、入りの10kのペースはちょっと速かった。それと、5kの表示が分からなかった。ペース配分は、時間ではなく、辛くないペース、楽しめるペースで行こうと時計をあまり気にしないことにした。距離表示も真剣に探さないことにした。

 簡易カッパを捨てるか、迷ったが、重いものでもないので、背中のポケットに入れておいた。実は、これが良かった。不安定な天気、後半で着ることになった。給水は、しっかり取った。給水後、塩あめを口に入れる。楽しい。フルマラソンに参加しているて感じが、たまらなく楽しい。

●10k〜30k 1時間56分46秒 1k 5分50秒ペース
 10kを過ぎたところで、ヨッシーに抜かれる。江ノ島折り返しまで、がんがん抜かれる。まだ、抜かれれる。だいぶ後ろかなー。と折り返してから、まだまだ後ろにいるのでびっくりした。1万2千人かー。

 また20k地点が分からなかった。まあ、いいや、多分キロ6分〜7分ペースだろうと思う。給水はしっかり、梅干サイコー。バナナパス。チョコレートパス。糖分は足りているような気がした。やっぱり、塩分。

 楽しんで走っている。たまに雨脚が強くなることがある。簡易カッパを捨てずにいてよかった。30k通過で、2時間51分。ちょっとびっくりした。4時間前半でのゴールが見えた。そして、にやけてしまう。でも、フルマラソンはここからが本当のスタートだと気を引き締める。「ペースを落としてもいいから歩くな!」と心の中で言い聞かせる。

●30k〜40k 1時間03分04秒 1k 6分18秒ペース
 30k過ぎから歩く人が出てくる。がんがん抜かれていたのが、抜かれなくなった。一人、また一人、と歩き始めた人を抜き返す。西湘バイパスへの登りがきつい、いま何キロなんだろう?、太ももの張りが無いのが不思議だった。30kを過ぎているのに、いつもはここで歩き始めるのに...歩かないぞ!

 立ち止まってストレッチする人。ペースが急激に落ちた人。また一人と、抜き返す。(すみません。大先輩、隊長も抜きました。)大磯プリンスが右に見えてきた。残りは二ノ宮まで行って、折り返し、「7k!」の声援の声が聞こえる。二ノ宮までが、やたらと長く感じた。さすがに、疲れた。へとへとだ。最後の給水を終え、ゴールを目指す。

●40k〜ゴール 15分28秒 1k 7分44秒
 いける、いける、歩くな、楽しめ、二ノ宮の折り返しに向かう人が、延々と続く、みんな楽しんでいる。逃げずに、がんばっている。俺も、寸前のところで逃げずにすんだ。普段は、自動車専用道路だから、歩く走るが出来ないこの場所を、走れる喜びが込み上げてきた。そんな道路と分かれる場所がきた。...左に曲がり...

 私の目には涙が溢れていた。たいした記録じゃ無いのに...泣き虫、助がいた。フルマラソンを、甘く見て、軽い気持ちで申し込み。練習すると、その洗礼を受け、逃げ出そうとし、口実を探し、弱虫な自分に気づいて、いま、このフィニッシュゲートを抜ける...

 フィニッシュ後、涙はもうない。笑顔で、水を受け取り、チップを外し朝の集合場所へ...足が痛くない。太ももの張りもない。あと、10kぐらいは行けそうな感じだ。

 戸塚に戻り、風呂入って、お決まりの宴会へ、さいこーのビールを飲めた。鉄人クラブのおかげで、スイムもバイクもランも、そして飲み会も強くなった。

 次なる目標は...「東京マラソン、サブ4!!」裏事情はどうあれ、東京マラソンに当選した。ここでは、サブ4を目指そう。スタミナ練習にスピード練習を取り入れよう。バイクも乗ろう。根岸行きます。磯子バイク練習行きます。サーズデイ・ラン&スパまた行きたいです。

 今度は、横須賀シーサイドマラソンに嫁がエントリーしている。子供と大応援団を結成し、プラカード手に応援してきます。走るのも楽しいけど、応援も楽しんできます。


home back