2007/5/19 第36回東京・糸魚川ファストラン完走記 ビーン

No. 386
距離 291.6km
Time 12:44:05 平均時速 22.90km/h 187位(年代34位)

■高尾まで

『RRR・・・!』、何?うるさいなー。
『RRR・・・!!!』、んーー、なんだよー?
『もしもし、出られる?もう3:30過ぎてるよ!』
『んー、はい、すぐ出ます』、とは言ったのだが、頭の中は完全に寝ぼけている。
そうか、ここは八王子のビジネスホテルで、今日は糸魚川ファストランの当日なのであった。昨晩は会社で飲み会があって、お開きの後、会社からバイクを輪行してホテルに着いたのが10:45PM。それからコンビニ買出し、バイクの組み立てと準備を済ませてベッドに入ったときは1:00AMを回っていた。いま時計は3:38AM、完全に寝坊である。
あわててバイクウエアに着替え、荷物をすべてバッグに詰め込んでロビーへ、カンレキ氏たちは先に出発しているとのこと。バイクに乗って数百メートル行ってから、エアを入れていないのに気がついた。インフレータもホテルに忘れてきた。あわてて取りに戻って、エアを入れて再出発。なにやら多難を思わせる一日の始まりだ。

■スタートまで

今年で第36回となる東京・糸魚川ファストラン。自分は2001年、2002年についで3回目の参加。カンレキ氏は7回目という。同じく7回目のタマちゃん、そしてビジターのOさん、Yさん、Iさん、S嬢が同じチームで参加する。
八王子から高尾山口のスタート地点までバイクで自走。先に受付を済ませてくれたカンレキ氏からゼッケンのバーコードとタイムチェックの用紙をもらう。この大会は申込みからすべての手続きがチーム単位で行われる。ただし走行は個人の自由である。
前日までの天気予報では朝まで雨、日中は曇りということだったが、昨夜から雨は降らず、どうやら天気は持ちそうな気配である。下はバイクパンツ、上はバイクジャージにアームウオーマー、薄いウインドブレーカを着用。あわてて着替えたのでソックスを履いていないが、この天気なら大丈夫だろう。バイクには小型のヘッドランプを2個、リアには点滅するリアランプを装着。
すでに4時から10分おきに数十人単位でスタートは開始されている。自分とカンレキ氏は5:00、タマちゃんが5:10、その後O、Y、I、S各氏は5:40のスタートである。40分の時間差であるが、圧倒的に早いOさんにどのへんで抜かれるか、そのほかの若いメンバーにもいずれ追いつかれることは必至であろう。タマちゃんは初めドンドン先行、後半失速というのがいつものパターン。

■高尾山口〜笹子CP 57.1km 2:25:35 23.53km/h 198位

5:00、高尾山口をカンレキ氏とスタート。この集団は30名ほど。国道20号線はここから大垂水峠(標高380m)まで約6キロ、標高差200mの登りが続く。峠から相模湖へ下り、最初にポツリと雨粒を感じたのは上野原を過ぎたあたりだったろうか。すぐに雨脚は激しくなり、本降りの様相となってきた。薄いウインドブレーカから肌へ雨水が染み透ってくる。大月を過ぎても雨はやむ気配もなく、笹子への登りは路面のわだちに水が流れ下ってくるような状態である。先行者につくと後輪からしぶきが上がる。路面にも気をつけなければならない。 やがて57.1キロ、笹子のチェックポイントが見えた時にはひとまずほっと一息。タイムチェックを済ませて、小用。ジャージのポケットに入れてきたパンを半分食べる。雨ガッパを着ている人、自分と同じように寒そうなスタイルの人、とさまざま。 トライアスロンのエイドステーションとは雰囲気がやや異なり、皆結構リラックスしているから、うっかりすると長時間休みすぎてしまう。10分ほど休憩し、デジカメであたりの写真を撮って、再び雨の中をスタート。

■笹子〜韮崎CP 48.7km 1:58:08 24.73km/h 227位

すぐに笹子トンネルに入る。まだ車の数は多くないが、それでも抜かれるときは緊張する。冷え切った身体にトンネルの中は暖かく感じられ、それが少しだけうれしい。トンネルを抜ければ甲府側は晴れているのでは、とわずかに期待していたのだが、やはり雨が降り続いている。濡れた体で風を切って勝沼への長い下り坂を走る。とにかく寒く、緊張のライディング。
甲府盆地へ下った頃から雨は次第に弱くなってきた。市街地へ入っていくと車の台数が増え、交差点ではその都度信号待ちとなる。この大会はあくまでも交通規則順守である。20号のバイパスでは立体交差は側道を走行するが、結構信号待ちが長い。このあたりでは3人ほどの集団についているが、このチームはなかなか良く信号を守っている。甲府市街から韮崎へ。このあたりでようやく路面が乾いてきた。
韮崎のチェックポイントは105キロ地点。時刻は9:23。ここでおにぎりとお稲荷さんを2個ずつ食べる。毎回のことながら、この大会のおにぎりとお稲荷さんはおいしい。ここのチェックポイントはトイレが遠い。歩いていくと往復5分以上かかりそうなので、途中の川っぷちで失礼。
晴れてきたのでブレーカーとアームウオーマーを脱いで、さてスタートしようとしたところでOさんと遭遇。すでにOさんもエイドからスタートするところ。予想ではこのあとの富士見峠への坂の途中あたりで追いつかれるかと思っていたが、105キロで40分差を追いつかれてしまった。ここまでの平均時速で4.3kmも速い。カンレキ氏には笹子で会ったとのこと。

■韮崎〜塩尻峠CP 63.0km 2:58:03 21.23km/h 135位

富士見峠までは約30キロ、標高差500mほど。時おり薄日も差し、ウエアも乾き、次第に汗ばんでくる。数名の集団に追いついてはしばらく様子を見て、ペースが合えばなるべく着いていく。もちろん速い人は後ろからどんどん追い越していく。集団同士が追い抜くとどうしても横へふくらむのでトラックが威嚇したり、危険な幅寄せをしたりする。自分も一度トラックに幅寄せされた。このときは単独で左側を走行していたので、まったくの嫌がらせである。まあ、数十キロにわたって数百台の自転車が走っているという状況だから、中には頭に来るドライバーもいるのであろう。
富士見峠最後の数キロの坂を上ると諏訪盆地への下り坂にかかる。茅野を過ぎ、中河原交差点を左折して諏訪大社へ。大きな鳥居の前を通って諏訪湖の南岸へ出る。ここまで来て、またボツボツと音を立てて大粒の雨が落ちてきた。ブレーカーを着ようかどうしようかと迷いつつ、塩尻峠の方向を見ると湖の北の空は心もち明るいような気がするが、次第に雨脚が激しくなる。観念してブレーカーを着る。風は終始向かい風。諏訪湖を過ぎると雨は上がり、天竜川を渡って岡谷の市街を抜け、再び国道20号へ。塩尻峠まで4キロほど、標高差は約200m。
塩尻峠からは快適な下り。坂を下りきる手前に小坂田公園があり、ここが168キロ、第3チェックポイント。時刻は12:21。小用と給水、おにぎりとお稲荷さんを計5〜6個、食べ過ぎだ。日差しもさして暖かく、のんびりと休憩している人もいるが、早々にスタートしなければならない。またブレーカーを脱いでスタート。

■塩尻峠〜大町CP 57.3km 2:40:56 21.36km/h 区間181位

数キロで高出交差点、ここを右折して松本方向へ。ここからは市街地に入り、ちょうど昼過ぎになって車も渋滞している。と、またまた雨が降ってきた。しかも気温が急激に下がり、寒い。しかたなく停止して、またブレーカー、アームウオーマーを着用。コンビニなどのノボリも北からの強い風ではためいている。今日は一日こんな天気なのか。
国道19号を北上して田沢交差点を左折、さらに豊科ICを右折してオリンピック道路へ。田んぼが広がる安曇野の中の一本道を北へ20キロ、標高差150m、しかも向かい風。左にはアルプス連山を望み、右手には高瀬川が流れ、風景はよいが単調この上なく、この大会の中で誰もが口を揃えて『あそこはきつい』という嫌な区間なのである。左手に続く田んぼはほとんど田植えが終わっているが、ところどころ一家総出で田植えをしている。最初付いていた2人はすぐに先へ行き、ひとり取り残されてペースダウン。昨夜の睡眠不足もあって眠気も催してくる。気分を変えようと停止してブレーカーを脱ぐ。今日は着たり脱いだり、なんと忙しいことか。
大町の手前で右折、147号線に入る。やがて226キロ、JAの支所が4つ目、最終のチェックポイントである。時刻は15:02。ここでもおにぎりとお稲荷さん。米のご飯は飽きることなく食べられる。男子用のトイレに行儀よく数人が並んでいるので、大のほうを使ってよいかと聞くと「どうぞ」とのこと。遠慮せずに先に済ませてしまう。自転車乗りは実にマナーがよい。

■大町〜糸魚川 65.5km 2:41:23 24.35km/h 区間260位

さて、大町を出発すると残り65キロ。木崎湖、青木湖を経て白馬までがわずかに登り、あとは糸魚川までほとんど下りの区間である。しばらくは左手に湖を眺め、大糸線に沿ってなだらかな登りを行く。しばらく行くと登りとはいえやはり寒く、長い下りに備えてブレーカーを着る。
白馬の前後は国道の左端に地下水のノズルが埋め込まれてあり、左端は走りづらい。しばらく前にかなり雨が降ったようで路面にはかなり水が溜まっている。八方尾根、栂池と過ぎて小谷へ。ここからは姫川の渓谷沿いに長いトンネルが続く。暗く、ところどころ路面が荒れており、バイクに激しい振動が伝わってくる。路面は濡れているようでヘッドランプの明かりもあまり役には立たない。時おりトラックが轟音をたてて追い越していく。薄茶色のレンズのサングラスをしているので、トラックが真横に並ぶときは一瞬真っ暗になり、これは恐怖である。クリヤーのサングラスは必須である。
南小谷から約20キロにわたって幾つものトンネルが続く。下りのコーナーはスピードを押さえつつ下っていく。こんなところでも速い人は平気でどんどん追い抜いていく。
最後のトンネルを抜け、姫川を渡るとあとは平地となって糸魚川まで残り数キロ。やがて道路の左側で左折するように合図をするスタッフが現われ、ここが糸魚川温泉のゴールである。このホテルは道路に面していないので、何となく唐突な感じでゴールすることになるのである。それでもホテル前のアーチには歓迎の横断幕が掲げられているが、今回は雨模様の天候のため、ホテルのエントランスがゴールとなっており、若干イベント気分が乏しい。チェックシートをスタッフに手渡して、これで正式にゴール。総合タイムは12:44:05。2001年より20分遅く、2002年より10分速い。天候条件を考えればこんなものか。

■チームメイト、表彰台に立つ!

先着のOさんから部屋を教わり、荷物を置きに行く。S嬢もすでにゴールしている。温泉に入ってそれからカンレキ氏のゴールを待って写真でも撮ってあげようというつもりであったが、外へ出てみると、予想よりも速くカンレキ氏はすでにバイク置き場へと移動しているところであった。Yさん、Iさんは度重なるパンクで大幅にタイムロス。タマちゃんと大町で合流し、夜8時近くのゴールとなった。
翌朝の表彰式ではS嬢が女性の5位に入賞。今回はカニはなく、自分で選ぶという形。彼女はサングラスを貰っていた。今回はやはり悪コンディションであったためか全体にタイムが振るわなかったようである。通常、トップが8:30前後であるが今回は1位の選手のみがかろうじて8時間台であった。ちなみにOさん11:12:28 総合66位。Sさん11:32:34 総合87位。カンレキ氏 13:15:43 総合235位。
あとはビールを買い込んでバスに乗り込む。景色を見て、ビールを飲んで、居眠りをするだけ。これが楽しみで出てる?のかも。


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