1月29日 マラソンを楽に走ろうなんて…!
第26回館山若潮マラソン完走記
Mr.ビーン

佐野マラソンではまずまずの結果だったので、ここのところ気を良くしているのである。正月にいとこや妻の母が来宅した折などには、「高橋尚子と(約)1時間しか違わない」と吹聴しては煙に巻いていた。へぇー、スゴイなどと一応は感心してくれるのだが、シロートには速いんだか遅いんだかほとんど良く分からないであろう。

ところで、これまでにフルマラソンは何回くらい出たのだろうと思い、調べてみた。

クラブに入会したのは93年の5月で、その年、日米親善、横浜マラソンに続いて11月の河口湖マラソンに出たのがフルのデビューであった。以来、足かけ14年で21レースに出場している。その内訳は河口湖4回、埼玉5回、小笠・掛川1回、筑波6回、大田原1回、佐野1回、この若潮マラソンは今回で3回目である。毎年のように申し込んでいるので、もっと出ていたかと思ったが、ちゃんと出たのは97年、04年、そして今年06年だけである。

埼玉が中止になって以来、年が明けてからのフルは勝田と若潮ぐらいしかない。そして毎年、エントリーの案内が来るので若潮はけっこう毎年のように申し込んでいる。そしてつい申し込んでしまったものの、この大会は意外とドタキャンしたことが多いのだ。2002年は早朝に起きたら雪だか雨だか降っていたので、いやになってまた寝てしまった。また、わざわざこの寒い時期に結婚式を挙げる人があって、出場できなかったことも2回ある。2003年は会社の女性、2005年はご存知、たまちゃんである。

前記のように、初めて若潮に出たのは97年である。そのときはフルの6レース目で、当時はレースのたびに20〜30分も記録を更新できていたので、気を良くしていろいろな大会に出ていた。この年は若潮の次の週に埼玉と2週連続のフルマラソンに出、しかも埼玉では3:37の当時の自己ベストを出している。そんな快(?)進撃ぶりであった。

さて、若潮マラソンである。参加費だけ毎年払っている人が他にも多数いるのか、この大会は比較的サービスが良い。参加賞代わりのようなシューズ袋も、今年はナイロンの立派なものになっている。もちろん完走Tシャツもある。受付の横では健康問診コーナーがあり、一人一人血圧を測ってくれる。ゴール後のトン汁も具だくさんで美味しいのである。

今回、自分のゼッケンは4128である。最初の桁がカテゴリーで、4000番台は「男子50歳以上」である。そして下3桁はエントリーの際の自己申告タイム順となっている。自分は確か3:30で申告したのだが、これでも早いほうなのであろう。

スタートは各カテゴリー別にゼッケンの若い方から並ぶ。4000から4200までは先頭の列に並べるのである。自分はスタートラインから50mくらい。もっと前に出ても良さそうだが、今回は脚の不調のせいもあって、あまりタイムは無理しないつもりなのである、が・・・。

普段、練習で坂道はあまり走らない。年に数回、気が向いたときに葉山の国際村に上ったりすることがある程度である。しかも下り坂を練習しようとは思わない。ところが、昨年暮れにトレイルランニングやら、佐野マラソンで下り坂があったせいか、年末から左ヒザの具合をおかしくしてしまった。ヒザを曲げて走るぶんにはほとんど違和感なく走れるのだが、立ち止まって走り始めるときや、ちょっとした段差の下りなどでビクンと痛みが走る。ひざを伸ばして衝撃をかけると痛いようなのである。したがって練習でもなるべく信号にかからないように、とか、なるべくヒザを曲げて力走するようにしたり(そうするとかえって痛くないのである)と、かなり気になっていたのである。1月に入ってからはなるべくエアロバイクに切り替えるようにしていたので、走行距離も大幅に減ってしまっていた。そこで今回の若潮マラソンは南房総の景色でも眺めつつ、のんびり気持ち良く走ろうというつもりなのであった。

ところが9:45、スタートの召集がかかって、スタートへ行ってみると、前述のようにほとんど先頭からスタートできるのである。これはいかん、少しでもアップしておこうと、あわてて200mほど走ってみる。後ろの方からスタートしてのんびり走る分にはかまわないが、前のほうに並んで最初からぼろぼろ抜かれるのはいやである。しかし結局、スタートしてみればいつもと同じ走り方になってしまうのである。すなわちやみくもに前の人を追い抜いてみたり、後ろから早い人が来れば着いて行こうとペースを上げたりする。その結果息が上がってペースダウンしてしまう。

前回の佐野マラソンは参加者625人、若潮は1700人近い。それでも数千人規模の筑波に比べれば走りやすい。筑波なら我慢して15キロまで行くしかないが、適当に隙間があるのでどんどん追い越していく。前からゼッケンの数字がやけに大きい奴が下がってくる。ズルをして前に並んだのがバレバレである。自分ももうちょっと欲張って前のほうに並ぶんだったか…。殺風景な長い海岸線を南下していくと5キロほどで館山港。ここで距離合わせの折り返しがある。一昨年までは復路に設けられていた折り返しだ。そして最初の給水。水と早くもバナナを補給。

●5km 23:45(/5km以下同) 抑えて走ってこのタイムならいいのだが、、、
コースは西へ房総半島の西先端に向かう。右側には東京湾の海が見え隠れするのだが、このあたりからコースは海岸線の屈曲に合わせて緩やかなアップダウンが始まる。

●10km 22:33 若潮ってこんなにアップダウンがあったっけ?
距離表示は5キロごとにきちんとあり、その後に給水ポイントがある。バナナとパンも必ず置かれている。以前はこんなに親切に補給があったような記憶はなく、たいへん整備された大会になっている。10キロを過ぎると洲崎の灯台が見え、そこからコースは岬の先端を回って東へ向かう。

●15km 22:56 ようやくペースが安定してきたが、、、。
15キロから20キロまではフラットで走りやすい。ここからがフラワーラインと称して、ゴルフ場やら南房パラダイスやらが続く。右手には太平洋が広がっているのであるが、遠くてほとんど見えない。
ずっと手前から、同じ4000番台のゼッケンをつけた2人のランナーとペースが合っているのであるが、その一人が気になって仕方がない。フォームが非常に変なのである。前につんのめるような姿勢で、両足はがに股に開き、両手はひじを張って左右に大きく振る。あごを突き出し、顔を左右に振りながら走る。つまり一見すると最初からバテバテという感じのフォームなのだ。ところがこれで自分と同じペース。他人のフォームをとやかく言うつもりはないが、とにかく見ているほうが辛そうでしょうがない。この人がつねに前方20m以内にいるのだ。何度か追い抜くのだがそのたびに給水などで抜き返されてしまう。もう一人は白髪の長身の選手。この人はイーブンペース。年季の入った安定感のある走りだ。この人も何回か追い抜いて、そのたびに忘れた頃に追いついてくる。

●20km 22:57 ここまでは何とか、しかし、しのびよる不安・・・
若潮マラソンは意外にアップダウンのあるコースだ。30キロ地点、40mがピークだがその前後に10〜20mのアップダウンがたくさんある。高低差のトータルは120mくらいありそうだ。とくに20キロから30キロまでの間は小刻みに上り下りがあって、これが後半脚に効いてくる。
20キロを過ぎた頃から、何となく左足の足底にいやな感じがし始めた。今日はやや大きめのシューズをはいてしまったので、スタート前に珍しくシューレースをきつめに調節しておいたのだ。それがどうやら裏目に出たようで、水疱ができかけている感じがある。走り始めた頃を除いて、こんなことはめったになかったのだが、これでは後半が思いやられる。
やがて海岸線から左折して山の中の道に入る。ここから往路の10キロ地点まで戻るようなコース設定だ。

●25km 24:06 ここからが本格的なアップダウン
今回はカーボショッツも持ってきていないので、エイドのたびにパンかバナナをもらう。クリームパンを半分に切ったのを5キロのエイド一つおきに食べるとちょうど良い。30キロほどのところに私設エイドがありここで五目御飯のおにぎりをもらったら、ちょっと食べ過ぎたようで右わき腹が痛くなる。

●30km 25:43 気になる足の裏をかばいつつ…
30キロ地点がこのコースのピーク。あとは下って海岸線へ出ると、そこからゴールまで往路のコースを逆にたどる。足底の水疱はどうやら広範囲に広がっているようで、着地のたびにズキズキと痛みを感じる。水疱が潰れても走れないことはないだろうが、まだ10キロもあるのだ、なるべく大事に走ろうと着地を変えてみたり、シューズの中で指を立ててみたり、いろいろ工夫してみるが大して効果はない。

●35km 27:01 もう抜き返す気力もなく
もう先ほどの2人のランナーも前方に行ってしまった。背後からもどんどん抜かれだすが、もう抜き返してやろうという気持ちも起こらない。1キロがいやになるくらい長い。距離表示もたいへん親切で、残り10キロくらいからは1キロごとに表示がある。それもかなり正確である。これも一昨年は記憶にないから、一定間隔の給水とあわせて大会の努力がうかがえる。
残り4キロほどで館山の海岸線に出る。ここから弓なりの海岸線に沿って、ほぼゴールまで見通せる。ゴール付近のジャスコの看板も遠くに見える。そしてここからが長いのである。すでにかろうじて走っているというだけ、ペースはキロ6分近くに落ちている。

●40km 29:18 これではいかん、最後だけでも帳尻を…
館山駅の入口を過ぎるとゴールまでは2キロ。5分台のペースまで上げれば30分は切れるか、と少し希望が見えてくる。さすがに完走だけではいかん、何か一つくらい目標をクリアしておかなければ、という気持ちになってくる。ペースを上げていくと例の白髪のランナーを追い抜いた。しかしあのバテバテフォームのおじさんは見えてこない。
自分に気合を入れたいときのいつもの手で、自分よりバテていそうな奴に声をかける。追いついたランナーに「まだ30分切れますよ、行きましょう」と声をかけると、「俺はもうダメだ、先に行ってくれ」みたいなことを言う。まるで日清戦争、203高地の総攻撃である(?)。ここからは残った力を振り絞って全力疾走。

ゴールの運動場の手前の橋にかかると、「30分切れるよー」と応援の声。最後の250mを全力で駆ける。ゴールの正面でカメラマンが構えていたので、グリコのポーズでゴールイン。カメラマンが「ばっちり!」とOKサインを出してくれる。タイメックスの表示は3:29:59となっていた。

ゴールエリアで芝生に腰をおろすのもつらい。チップを外しながら、正月以来の不摂生を反省。しかし、ヒザの不調がほとんど気にならなかったのはまあよかった。少し練習ももとに戻さないと、などと思いつつ、熱いトン汁をすする。そもそも自分のレベルでマラソンをのんびり楽しく走ろう、などと考えるのが甘い。どんなときも一生懸命走るしかないのだ、などと妙にしみじみ。ほどよい塩分が疲れた身体にしみこむようで、とてもうまいのであった。



■第26回館山若潮マラソン
2006年1月29日 快晴
	lap	spl.
5km	0:23:45	0:23:45
10km	0:22:33	0:46:18
15km	0:22:56	1:09:14
20km	0:22:57	1:32:11
25km	0:24:06	1:56:17
30km	0:25:43	2:22:00
35km	0:27:01	2:49:01
40km	0:29:18	3:18:19
finish	0:11:39	3:29:58

スタート通過 0:00:26 0:00:26
中間     1:37:31 1:37:06
ゴール    3:29:58 1:52:27

種目順位    84位/ 562人(男子50歳以上)
総合順位   338位/1689人


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