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7月9日、本年度の東京アイランドシリーズ最終戦の新島オープンウォーターが開催された。当日は、天候も良く、テトラの内側を泳ぐため、波の影響もほとんどない、良好なコンディションの中、1.5キロの部81人、3キロの部36人、4.5キロの部69人が参加した。
私とヨーコは、4.5キロの部(1.5キロ=波打ち際から沖へ約200m進んだ後ブイを右折、まっすぐ750m地点まで泳ぎ折り返して戻って来て、ブイを左折し一度浜へ上る=を3周回する、ただ後で記録を見たり他の参加者の話でも実際はもっと長かったようだ)に参加。私は、事前の練習もそこそこ出来ており、また、初めてウェットスーツを着用することで、気分的には少し強気でスタートした。
スタート後、最初のブイを回った所で男性Bと、女性Cと一緒になり3人一塊になる。少し前には男性Aが一人で泳いでいるのが見える。水が綺麗で20〜30m先まで見通せる。目の前を鯵の群れも横切って行く。そんな海の中を、私達3人は、私の右横にB,Bの後ろにCと言う隊形で泳いでいる。ところが、息継ぎが、Bは左オープン、私は右オープンなので、その都度、Aと私は顔を見合わせることになる。Aはゴーグルの大きさのせいか、眉間に皺が寄って、苦しそうな表情に見える。私は、敢えて「まだ始まったばかりだし、余裕だよ」と思わせる顔をする(Aにどこまで伝わったかは、不明)。ところがAもかなり水しぶきを上げた力強いストロークで対抗してくる。CもぴったりBの後に付いて来る。そうやって3人で張り合っている内に、Aに追いついて4人の集団になる。そのまま、最初の折り返しに向かう。泳いでいて、長いなと言う感覚。初めてのウェットで早くも首すじが擦れてヒリヒリする。どうしても痛かったら、周回ごとに浜に上がる時に脱ぐしかないかな、と思う。それでも、4人で競っているうちに痛みも忘れてしまう。折り返しでは、私達4人の前はかなり離れているようだ。そこで、この4人の中で先着することを目標にする。6位までが入賞なので、4人の中の順位差だけでも影響は大きい。折り返し直後、Bの前に出る。Aは右5m横を泳いでいる。CはBの真後ろの筈だ。そのまま、1周目を終え、浜へ上る。B,Cが直ぐ後ろに付いていたことを知る。追い越した時の勢いから少しは差をつけることが出来た、と思っていたのに。
2周目前半。私とBは、追いつ追われつ、相変わらず、しばしば目を合わせる。私は「まだまだ元気だよ」と顔を作る。しかし、4人の集団の隊形は崩れない。力が拮抗し、お互いを引き離せない。一番泳力がありそうなAが前を行くが、B,Cは上手い位置取りでそのペースに乗っている。私もなかなか、Aの前まで出ることはできない。そこで、私は、「2周目前半を頑張って、折り返しまでに差をつけることができれば、そのまま逃げ切りを図る。もし、差をつけられなかったら、集団の流れに乗って、3周目の最後でスパートする」ことにした。これまで集団の中で出入りがあり、泳ぎからみて恐らくダッシュならB,Cには勝てると思う。私がスピードを上げても同じようには上って来ない。ただ、わざと前に出てこないだけなのかな、とも思う。それにしても、平然と集団の先頭を泳いでいるAは手強そう。ただ、作戦を決めた以上やってみるしかない。思い切ってAの前に出る。そして決断の折り返し。やはり、3人は直ぐ後ろにいた。私は、立ち泳ぎをして3人を先に行かせる。ところが、プールと違って海は海。いくら波が低いとは言え、人の後ろを泳ぐのは苦労する。一掻きに右に左にぶれてしまう。気持ちが集中できず、かえってペースが乱れ、余分な力を使っているようだ。結局、元の状態に戻ってしまう。
そして、4人一塊のまま、最終周に入る。ここに来て、少しペースが上ったようだ。期せずして、集団の最後尾になる。4人が、A,B,C、私の順で一列になっているようだ。くっ付き離れを繰り返しながらも、機会を待つ。最後の折り返しを終え、しばらくして(ゴールまで500m位)、B,Cの前に出る。結果的にここまでは、作戦通り。おそらくB,Cは抜き返して来れないと思う。力が残っていれば、この地点でやすやす私を前に出さないだろう。問題はA。右5m横にいる。この先、ブイを左折するので、私のほうがコースの内側になる。その分だけ有利かなと思う。それがないと、まともには太刀打ちできそうにない。とことが、私の誤算。コーナーでブイに近づきすぎて、ターンでスピードダウン。そのまま、逃げ切られた。それがなかったとしても。Aの方が力は上だった。
結局、私達4人の集団は、4.5キロの間、他の誰も追い越すことなく、追い越されることなく、Aと私が5秒差、私とCが7秒、CとBが10秒差でゴールした。これまで、レースの駆け引きと言えば、バイク、ランだけと思っていたが、意外なところで、心理的にも、面白いレースを経験することが出来た。
ところで、私がゴールした時、いつもいる筈の人がいない。応援の人の話では、私の後ろだそうだ。一瞬、喜んだがすぐ心配に変わる。万に一つも、溺れていることはないが。初めてのウェットが合わなかったのかな?と思って待っているうちに戻ってきた。ヨーコは私を見た時に、リタイアして先に上ったのかなと思ったそうだ。本人なりには、泳げていたようだ。ただ、キックが宙に浮いて上手く打てなかったそうだ。また、あとでビデオを見ると、1周目は私達の20mほど後だったのに、ゴールでは5分ほどの差になっており、私達の集団が競い合ってペースが上ったのに乗り遅れたのかな、とも思う。最初から集団の中にいれば違った結果になっていたかも知れない。
ともあれ、今までは、ただ長い距離をマイペースで泳ぐだけ、と思っていたオープンウォーターの新しい魅力を発見した大会だった。今後、パワースポーツのラフウォーターにも挑戦してみたい。
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記録
優勝者 1時間15分46秒
キ ヨ 1時間31分40秒(男性9位)
ヨーコ 1時間36分46秒(女性3位)