アイアンマン・コリア TSUKA

 アイアンマン・コリアの出発2日前火曜日の出来事。バイクをパッキングし終えて、喉でも渇いたので冷たい物でも飲もうと思い、ガラスのコップを軽く水で濯ぎ、コップを手に持ち上下に振って水を切っていたところ、突然コップがバキーンと割れてしまい、左手の親指の付け根辺りに痛みが走りました。見ると傷はかなり深かったのです。ティッシュペーパーで傷口を押さえ止血をしましたが、頭の中が「どうして良いのか解りません」状態です。再び傷口を見るもやはり深いです。バンドエイドを張り、暫く椅子に座り込み思案に暮れました。
外出中の家内が帰宅したので怪我の事を言い、「医者に行った方が良いかな?」と傷口を見せた所「それは行かなきゃダメでしょ」と言われたので、「そりゃそうだな」と思い、医者に行きました。医師に診てもらう前に看護士に見せて、「縫いますかね?」と尋ねた所「縫います」と間髪入れずの返事。結局6針を縫う結果になってしまいました。医師に「今度の日曜日にトライアスロンってスポーツのレースに出るのですけれど、どうでしょうかね?」と尋ねたところ、「ダメって言っても行くんでしょ?聞かなかった事にしましょう」と言われました。「何でこんな時期にこんな怪我をしてしまうのだろう」と思いっきりブルーな気持ちになりました。通常抜糸までには10日程見るそうです。レースまでは4日しか有りません。当然レースは糸を付けたまま臨む事になります。スイムは防水絆創膏をすれば何とか成るだろうと思いましたが、問題はバイクです。果たしてこの手でバイクに乗ることが出来るかが心配です。とにかく一番の心配事はバイ菌が入ったり、傷口が再び開いてしまう事です。早く傷口がくっついてくれる事を祈るしか有りません。

 8月28日(木)
チェジュに到着したのは夜だったのでバイクは翌日に乗って見ました。傷口に防水絆創膏をして左手にだけグローブをしてバイクに乗って見ました。一応バイクに乗る事は出来ました。DHポジションやヒルクライミングポジションは問題有りませんが、ブレーキングは傷口をブレーキブラケットに押しつける形になるのでとても痛みます。思い切ったブレーキングが出来ません。マウンテンコースになった今年のチェジュではとても心配ですが、やるしか有りません。

 金曜日の選手登録時に、ハワイのクオリファイを取れたらハワイに行くか否かの書類を提出しなければ成りません。イエスかノーで、変更は効きません。自分は諸般の事情でノーにしました。これでどんなに良い成績でもハワイには行かれないのです。少し寂しい気持ちになりました。

 8月31日(日)
深夜2時頃外では大雨の音がしています。「雨のレースなんて嫌だなあ、怪我を理由に出場を止めてしまおうかな?」なんて寝ながら考えていました。
 朝4時に起床時、雨音は聞こえません。外を見ると雨は降っておらず一安心。傷口をテーピングで固めて、いざスタートへ。

 Swim
 波少々有り。良い成績を望むのは当然ですが、ハワイを意識しないせいかリラックスです。とにかく最後まできっちり走りきるために「無理をしないように、無理をしないように」と努めて自分に言い聞かせます。スタートも後方からゆっくりと。バトルを避けるため、大外から。遠浅のため泳ぎ始めるまで何回かドルフィンジャンプを繰り返してからスイムへ。波の狭間に入るとブイは隠れてしまいます。スイムの2周回は上陸地点付近で波に流され変な所で上陸してしまい、浜辺をかなり走りました。潮の流れは感じましたが、比較的泳ぎ易かった方かなと思います。時間は1時間9分、満足はしませんが、「まあこんなもんでしょう」と諦めます。

 Bike
 ハイウェイの様な大きな道路に出るまでは数キロ、トラジッションからのスタートはいきなりの上りです。大きなうねりを繰り返し、前半は比較的フラットの向かい風です。ここでも努めて無理をしないように心がけ、抜かれても追いかける様な事はせず、ドラフティングに気を付けながら行きました。110キロ地点くらいからいきなりの上りです。インナーロウ(39×25)で立ち漕ぎするも止まりそうです。もう一枚軽いのが必要でした。後半は山の峰を走る、○○スカイラインの様なマウンテンコースです。幾つもの上り下りを繰り返すタフなコースですが、比較的涼しい天気と追い風に救われました。しかし、「いったいこの上りは何処まで続くのだろう」と 精神的に辛いコースです。バイクゴールまで30キロを切った辺りから、再び向かい風と上りに苦しめられます。中文リゾートに入ってから急坂を下りバイクゴール。6時間8分、7月8月の天候不順で練習不足のためこんなもんでしょう。
 

 Run
 五本指ソックスをはくのに手間取り、オマケにトイレまで行ったためスタートまでかなりの時間を要しました。バイクスタート時と同じ道を辿るため、やはりいきなりの上りです。ランに入ってから太陽が戻ってきて暑いです。エイドでは全身に水を浴びて冷却しながらです。前半は、はやる足を押さえつつ走りました。最初は何時も走れてしまうもの、そして何時も後半歩いてしまう事の繰り返し。とにかくきっちり走りきりろうと思い走る。第一折り返しを過ぎてモトさんとすれ違いタイムを確認、約20分くらいの差。この後歩かなければ大丈夫だろうけど、歩いてしまう様な事になればアッと言う間に逆転されてしまう差です。ハーフを過ぎた辺りから明らかにスピードが落ちて来ました。このままではイカンと思いもう一度がんばります。25キロ辺りの中文リゾートの激坂上り下りに痛めつけられ止まりそうです。後6キロ、5キロと来たところで力が蘇って来ました。早くゴールのワールドカップスタジアムが見えないかなと思い走ります。周回遅れを抜きながら最後の頑張りです。周回遅れが真っ直ぐ進む中、ゴール地点に向かい道路を右折。この時は優越感が少しあったなあ。スタジアムの裏を一周回り、正面に出て来てゴールです。3時間49分、トータル11時間8分、総合77位、エイジ12位。クオリファイの10位には届かなかったが、来年に繋がる満足出来るレースでした。


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