アイアンマン・ウイスコンシン(2002) マツ

 みなさん「ウィスコンシン」ってどこだか知っていましたか?私はまったく知りませんでした。「ウィスコンシン」はアメリカの州のひとつです。シカゴがあるイリノイ州の北隣、ミシガン湖の西岸にある州です。州の中で一番大きな都市はビールで有名なミルウォーキーです。今年大リーグのオールスター戦がミルウォーキーブリューワーズの本拠地ミラーパークで開かれました。そのミルウォーキーから西へ100キロほど離れた州都マディソンで「アイアンマンウイスコンシン」は開催されました。第1回のアイアンマンレースです。マディソンは州都と言っても人口20万人ほどの小さな都市で高層ビルもありません。モノナ湖とメンドータ湖という二つの湖に挟まれた1マイルほどのところの中央にある小高い丘に州会議事堂がそびえ、夜にはライトアップされて、とてもきれいでした。スイム会場になったモノナ湖畔には、大会事務局がおかれ、パーティー会場、トランジットエリアとしても利用された大きなコンベンションセンターがあり、議事堂とコンベンションセンター間にフィニッシュラインが設置されていました。トランジットエリアはコンベンションセンター4階の会議室内でした。湖面からは20メートル位の高さになり、選手はスイム後、車両用のらせん車路を駆け上がらなくてはなりません。またバイクは別方向のラセン車路を下って行き、ラストは上って帰って来るというものでした。コンベンションセンター4階と議事堂のレベルはだいたい同じになっています。議事堂から西へ行くとステートストリートという一番にぎやかなショッピングモールがあり、そこがランコースに設定されていました。マディソンはまた大学の街でもあります。市内にウィスコンシン州立大学があり、2万人の学生がいるそうです。ちょうど新学期が始まったところで市内にはスクールカラーの赤のTシャツを着た若者たちであふれていました。ランコースの半分以上が大学構内になっていました。コースの中にはアメリカンフットボールのスタジアム内も含まれていました。なんとこのスタジアムは一大学の所有ながら5万人も入れるような大きなスタンド付でした。その規模の大きさにも驚きましたが、そこをコースに入れてしまう発想も驚きでした。夜には照明も点燈されました。

 私たちが宿泊したシェラトンホテルは会場からは2マイルほど離れたところにありました。ホテルから会場へはモノナ湖沿いに大きな孤を描いてサイクリングロードが続いていました。ここから眺める湖越しの議事堂周辺の風景は絶景でした。またサイクリングロードの周辺にはまるでゴルフ場のような芝生の広場が点在し、美しい風景を際立たせていました。サイクリングロードは湖1周12マイルあるそうです。マディソンは札幌と同じ位の緯度にあり、昼間晴れると暑くなりますが、朝晩は20度以下に下がります。湿度が低く非常に過ごしやすい気候でした。

 今回はトライオールスリーのツアーで参加しました。選手9名、応援2名、それに添乗の奥村さんの総勢12名でした。北は福島から神奈川、愛知、京都、大阪、和歌山、四国にとんで香川、南は熊本までのアイアンマンおたくが集まり楽しい旅になりました。メンバーの中にはあの高石ともやさんがいました。高石さんはランを4時間で走り、12時間を切ってハワイの権利をとると豪語していました。聞けばそれだけの練習はしてきたということで、それを裏付けるように真っ黒に日焼けし、引き締まった身体をしていました。高石さん60才だそうです。年齢を感じさせない若さがありました。結果は、ランの途中メディカルに入るアクシデントがあり、目標を1時間以上も上回る13:06:49でのゴールとなり、本人もハワイはあきらめていたのですが、勝利の女神は高石さんに微笑み、2位とは4分差で見事ハワイをゲットしました。

 さて私ですが、とりあえず完走はしました。スイム1:31:43、トランジット13:46、バイク7:05:09、トランジット9:56、ラン5:42:15で14:42:47、1479位でした。記録的にはまったく良いところなしで、アイアンマンのワースト記録に終わりました。

 スイムはモノナ湖の1.2マイル長方形のコースを2周しました。2000人の参加者がいっせいにフローティングスタートしたため、初めのうちはバトルがありましたが、遅かったせいかすぐにちょうど良い込み具合になりました。湖にしては流れがあり、最初の直線800メートルほどは楽に泳げましたが、第一ブイを曲がると150メートルほどうねりが続き、第二ブイを曲がると流れに逆らって泳ぐことになってきつかったです。1周目が終わる手前から心配していた脚の痙攣の予兆を感じました。脚はなるべく使わないようにごまかしながらなんとか泳ぎましたが、3キロ過ぎからはついに2〜3回つってしまい、大幅にスピードダウンしてしまいました。脚は垂直状態にして手で泳ぎ、なんとかスイムゴールにたどり着きました。岸に上がるとボランティアがウエットスーツをぬがしてくれましたが、トランジットエリアまでらせん車路を裸で走ったのはとても寒かったです。

 バイクはアームウォーマーをつけてスタートしました。晴れていましたが、風が冷たく鼻水が出てきました。バイクコースは30キロほど追い風に乗って行ったところから60キロほどのコースを2周して帰って来るというものです。周回コースは2〜300メートル位の距離のアップダウンが何度も繰り返されるかなりタフなコースでした。風もあり、いつも向い風に向かっているような気がしてきつかったです。バイクはいつもの大会よりは練習したつもりでしたが、どうも身体がピリッとせず、スピードに乗れずダラダラなんとなく乗ったという感じでした。海外のレースと言うとタイヤのトラブルに見舞われるので、今回は練習とまったく同じ普通のホイルで臨みました。スピードに乗りきれなかったのはそれも原因の一つかもしれません。これでパンクなしで終われば良かったのですが、中間点を少し過ぎたあたりで空気抜けが一度有り、メカニックでポンプを借りて空気を入れました。とりあえずちゃんと入ったのでそのまま走り、5キロぐらい行ったところで止まって空気圧をチェックしたら大丈夫だったのでそのまま走りました。

 ランの最初はわりと快調でした。5マイル(8キロ)を50分で通過したまでは良かったのですが、その後の大学構内のアップダウン(大学構内にけっこう長い坂があり、上って反対側へ下り、しばらく走って折り返して戻って来る)を歩かずに走ったのがいけなかったのでしょうか、急に身体が重くなりました。せめて10マイルまでは走ろうと思ったのですが歩いてしまい、その後20〜30分は歩きました。歩き始めは少しふらついて完走もやばいかなと弱気になりましたが、歩いているうちに回復してきたのでとにかく完走目標に頑張ることにしました。後から思ったことですが、ランに入ってからカーボショッツも飽きてしまい給食をあまりとらなかったためのガス欠だったような気がします。今回は歩いた時の防寒用に、スペシャルエイドにTシャツを用意しておいたので夜になり寒くなってから大いに役に立ちました。ランコースは商店街、街の中、大学構内を走りますから、どこでも応援が多く、たいへん励みになりました。

 アイアンマンウイスコンシン、タフなコースでしたが、もう一度チャレンジしたい大会の一つになりました。


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