アイアンマン・ジャパン・トライアスロン・五島・長崎
5月10日(金)
自宅を7時15分に出発,横浜東口バスターミナルで集合し横浜出発組と合流一路羽田空港へ。羽田でチケットを受け取るも,航空会社が出発飛行機を変更するとの事で荷物を預けることが出来ず待たされる。そのため食事にも行けず最初からケチが付く。
長崎空港着,そこからバスにて長崎港へ。そしてジェットホイルで福江島に向かう。福江の港は小さな港でした。そこから徒歩にて島一番と言われるカンパーナホテルへ。チェックインをして荷物を置き,直ぐに登録会場へ。登録会場はホテルから2分位の直ぐ近くです。アイアンマングッッズがチョットだけ有ったので記念Tシャツだけ買いました。そこから直ぐにカーボパーティー会場へ。パーティー会場は徒歩15分位の所なのですが,山の上なので,行きはタクシーで向かいました。巨大なテントの屋外の会場です。食事はまあまあでした。ノーマン・スタドラーはとても格好良い映画俳優の様な奴でした。雑誌で見た力強く走っている姿とは全然違く,アスリートには見えませんでした。松岡さんはオカマの様だと言ってました。私はファンになりました。ウエンディー・イングラハムは大女ですがとてもチャーミングな女性でした,私はファンになりました。ポーラは・・・・?パーティーが終わったら松岡さんの部屋で二次会で一日目は終わりです。が,運の悪いことに四人部屋の内二人がいびきをかく方だったので睡眠不足です。部屋の灯りを消して二分もしない内に始まりました,驚異!。
5月11日(土)
朝6時に起床後朝食前にバイクの組立。そして島一番のホテルで大したことの無い朝食。9時からの競技説明会。ホテルに戻りトラジッションバッグの支度。
小休止後街で昼食。初めて本場物の長崎チャンポンを食しました。どうって事は有りませんでした。昼食後バイクに乗って約20キロ先のスイム会場に向かいました。バイクの車検預託とトラバックの預託を済ませ辺りを散策。本吉さんだけウエット持参で泳ぎましたが,他のメンバーは寒いと言って眺めているだけでした。水は冷たかったのですが,本吉さんは「大した事無い,平気平気」と言ってました。本吉さんは,寒いとか暑いとか痛いとか辛いとか苦しいとかの感覚が無いのです。ホテルに戻り早々の夕食を済ませ,8時30分頃に布団に入ろうとしたところ携帯電話がなりました。「もしもし,杉浦です,明日練習行く?」「何言ってんの,ジャパンだよジャパン,今長崎だよ」と私。 緊張の夜を過ごす。
5月12日(日)
朝3時30分頃起きる。重たい体を起こし朝食を済ませ,出かける準備をする。補給食は一つのボトルにはアミノバイタルゼリーを3個分入れ,もう一つのボトルびはアミノバイタルウォーターチャージをウエストバックにはカーボショッツとパワージェル,バイクにパワーバー一枚,梅干し6個。4時30分にホテルを出て,45分発のバスに乗る。30分程で会場到着。バイクのセットアップに行く。先ずはタイヤの空気を入れ,補給食のセット。対馬さんがポンプが壊れたので貸してくれとの事でポンプを貸す,戻って来たところで知らない人が貸してくれと言って来たので断れないので貸す,その人が終わりそうになったところで,また知らない人が借りたそうだったのだが,これ以上ポンプの見張り番をしている訳にもいかず,無視をしてスタート準備に向かう。スタートの海は風が強く寒い。鉄人の皆で建物の陰に隠れて体にワセリンなどを塗って,ウエットスーツの準備をする。そこにパワースポーツ代表の滝川氏が登場。ニコニコしながら皆を激励。方や緊張の固まり,方やリラックス。パワーバーのサンバイザーを一般人に配りながら行ってしまう。6時30分,スタートチェックゲートを通り砂浜に入る。水は冷たい。ロングジョンで大丈夫だろうか?アップをしている人がかなりいるが,私は入る気になれない。スイムスタートは砂浜からかなり先でフローティングスタートになる。10分位前に海に入る。水に入った瞬間肺が締め付けられ息が苦しくなる。海は荒れている。時計回りのコースをスタートの混乱を避けるため,左側のアウト側に位置する。ここで1回目の尿意をもようしたのでウエットスーツの中で放尿。これが悲劇の始まりだ。ただでさい人より尿意が近いのにこんな冷たい中に長時間いたら。時計を見ながらスタートを待つ。午前7時にスタートの「ブアァー」の音で何となくスタートが始まってしまう。バトルはそれほどでもなかったが,とにかくうねりが凄い。水は飲むし,手は空振りするし。危険を感じる程です。自分の事より他のクラブ員の事が気になる。第一のターン(約1キロ)の所で再び尿意を感じ,バタ足を止め,手だけで進みながら放尿を試みるも出来ない。しょうがないので泳ぎを止め,海に漂いながらする。泳ぎを再開するも本当に荒れてる海に翻弄される。何とか周回の一回目を終え,砂浜に上がりターンを回るがここで3回目の尿意。砂浜からちょっと進んで膝くらいの水位の所で足を止め放尿。見ている人は,いきなり立ち止まっている選手をどう思っているんだろう。3回目を終え泳ぎ出す。しばらく行って今度は全身に寒気を感じ始める。やはりロングジョンでは3.8キロはだめだったか?それに今度は波酔いを感じ初めてしまう。ぐっとげっぷが出たかと思ったら,胃の中身が出てきてしまった。続いて4回目の放尿をする。海に漂っていると,一緒に泳いでいた人がアッという間に見えなくなってしまう。波と波の谷間に入ると何も目標物が見えなくなってしまう。かなりのタイムロスだがどうしようもない。泳いでいるときに自分の右側にたぶん本吉さんだろうと思われる人が確認できる。何とか2周回を終え陸に上がりタイムを見る。愕然とするようなタイムだ。とにかく次に移行しよう。トラバックを受け取り直ぐにトイレに入り5回目の小用。トイレに立っているときは目がぐるぐる回っていて真っ直ぐ立っていられない。壁に手を付いて何とか立っている状態である。着替えを済ませバイクの所まで走って行くとき隣に本吉さんが走っている。やはりさっきのスイマーは本吉さんだったか。バイクスタートは本吉さんが先。直ぐにに本吉さんに追いつき声を掛ける。先に行っているであろう自分が後ろからきたので驚いていると同時に,ちょっと喜んでいました。とにかく先行しなければと思い,足を回す。しかしここのところの練習やレースで本吉さんのバイクパフォーマンスはかなりの実力だ,負けこそすれ,勝つことは至難の業だ。序盤の2回の折り返しでも差は殆ど無し。しかも安川さんも僅差で迫っている。ここで後ろを気にするのは止めようと思った。序盤は寒気が残っておりバイクジャージの胸のファスナーを上まで上げる。しかしスイムで色々体が不具合を起こしているようでバイクの走り始めから辛い。いつも50キロ位までは調子が良いのだが,最初から辛いのでは180キロなんて不可能だと思う。福江のバイクコースは大変だと聞いてはいたものの,やはり大変であった。中盤から終盤にかけて一周40キロの周回が有りここがくせ者であった。向かい風,長い急坂。身も心も打ちのめされる。ここで2周目の時,1周目の対馬さんに追いつく。お尻をちょこっと触り抜いて行く。対馬さんのがっかりする声が聞こえてきた。何とか180キロを終了し,ラントランジットにたどり着く。着替えのテントに入ると高校生のボランティアが献身的に着替えを手伝ってくれる。頭の下がる思いだ。五本指ソックスに手間取りランスタート。ここで堀陽子と同時にバイクフィニッシュするも簡単にランで置いていかれる。走り始めはまあまあで有る。序盤の2回の折り返しで本吉さんとの差が確認出来たが,大した差が付いていない。最初の5キロが21分20秒でクリア,次の5キロは22分40秒で順調に推移する。次の5キロは23分32秒。まだ何とかいいだろう。しかし次が26分11秒と落ちてきて,気持ち悪くなってくると同時に左膝が痛くなってきた。エイドステーションのボランティアの掛け声にも自らの声で反応出来ないくらい胸が苦しく気持ち悪い。何も食べる気にはなれない。足はとうとう膝を曲げることが出来なくなってしまう。左足は突っ張ったままアンバランスな格好でかたちんばなまま走る。とにかく腕を振って体を前に進める。25キロから30キロを33分20秒を要した。ここではとうとう歩きが入ってしまう。時々路肩にうずくまる。何とか気を取り直し走る。30キロから37キロくらいまではキロ6分までに何とか押し上げる。後5キロ,街の中に入ってきてから再びキロ5分まで戻す。後5キロ,痛い左膝を無理して曲げ,普通の走りに我慢して戻す。街の人の応援と後チョットの思いが走りを支える。本当に辛く苦しく気持ち悪く,痛い。城の中に入り後数百メートル。皆が皆それぞれの応援をしてくれる。ウイニングロードは気持ち悪い体で気持ちよくゴールさせてくれた。総合11時間18分。直ぐにボランティアの高校生が二人来てくれて気遣ってくれる。マッサージの所まで荷物を持ってエスコートしてくれる。いつまでも続いて欲しいという思いでマッサージを享受する。マッサージを終え重い体と重い荷物を持って,ホテルまで帰る。ホテルのフロントでルームナンバーを告げルームキーを受け取ろうとしたら,「御部屋のキーはお預かりしてません」の返事。嫌な予感。自分の部屋のメンバーで先に帰っているとしたら?部屋に帰ると岩見くんが出てきた。やはりそうだったか。スイムでリタイアしたそうだ。しかしこれは本当に勇気あるリタイアだと思う。あの海で無理していたら本当に死んでいたかもしれないから。自分がこの成績で落ち込んでいるのだから,本人はどれほど落ち込む気持ちかは想像に絶するものである。しっかり準備して次回リベンジしてください。
5月13日(月)
レース翌日だからとおちおち寝ていられません。バイクの引き取りとパッキング。宅急便の手配。忙しい朝を終え,昼から温泉に皆と出かける。夕方からアワードパーティーに行く。表彰式を見ていると,表彰される人たちの偉大さと自分の駄目さが感じられ良い薬になり,また頑張ろうという気持ちになってきました。
今回は,まあ今回だけではなく,失敗したレースからは色々学ぶ事が多く,これからのトレーニングをどう見直さなければならないか。反省することばかりです。仕事のことも有るし,子供や家のことも有るからトレーニングばかりはしていられないが,言い訳ばかりもしていられない。とにもかくにも次に進もう。小学校の卒業文集ではないけれど,「前進あるのみ」。そういう気持ちにさせてくれるのも周りのそんなクラブ員がいればこそです。「ありがとうございます」。